メルセデス・ペトロナス MGP W01  text by tw (2010. 2.01月)

メルセデス・ベンツ社はブラウンGPチームを買収し、今(2010)シーズンから「メルセデスGP」としてF1GPに参戦する事となった。
レギュラー・ドライバーは成長著しいニコ・ロズベルグと、3年ぶりにF1復帰するミハエル・シューマッハとなった。
エンジンは昨年と同じくメルセデス製 V型8気筒 2.4リッターを搭載する。

2月01日、2010年シーズン初の合同テスト走行が始まり、メルセデスGPのニューマシン、「MGP W01」が公開された。
写真は、Formula1 GPUpdate.net等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。



昨(2009)年のブラウンGP「BGP001」はノーズ先端が低い事が特徴だったが、
今年の「MGP W01」ではノーズ先端はやや高くされた。
これは車体底面への気流供給量を増す為だと考えられ、
それはリヤ・ディフューザーが昨年車よりも更に多くの気流を吸い出せる事を意味する。

ノーズ上面の両端は、昨(2009)年のレッドブルのアイデアであるコブが設けられた。
コブの採用理由は、フロントウイングが跳ね上げる気流によるノーズ上面への気圧影響を軽減する為だと思われる。

ノーズ側面には昨年同様、ガーニーフラップ状のフィンが、ノーズ上面のカーブに合わせる様な形で取り付けられている。
これは意図的に細かい渦流を作り出し、それが何らかの役目を果たすのであろう。

現段階では、フロントウイングは昨(2009)年と同じ様なタイプ。



昨年車ではタイロッドはロワアームと同じ高さに取り付けられていたが、
今年の「MGP W01」では、昨(2009)年のレッドブルの様にアッパーアームのやや下の高さに取り付けられている。
これはおそらく、ロワアームの車体側取り付け方法が、
昨(2009)年のレッドブルの様にノーズ下面を丸みをおびさせ下方へ膨らんだ形状として、
ロワアームを長くして車体に取り付けているのかもしれない。
この場合、物理的にタイロッドはロワアームの高さには取り付けられない。
尚、ノーズ下面を丸みをおびさせると、コーナリング時に空力挙動がマイルドになると思われる。



モノコックのコクピット開口部より前方は、昨(2009)年のフォースインディアの様に高くなった。
レギュレーションで、サバイバルセルの側面は 550mm 以上高くなければならない。
ドライバー視野の確保から、全チームがサバイバルセル側面の高さを 550mm 丁度にしてある筈である。
よって、コクピット開口部より前部の高さの段差から、フットボックスの高さが判る。
フットボックスを高くすれば車体下方へ供給する気流量を増す事ができる。



今回導入された新しいアイデアは、インダクションポッドの高さを規定一杯よりも 35mm 程低くした事だ。
そして規定の通りにダミーカメラを装着する為に、インダクションポッドの上部にダミーの構造物が設けられ、
そしてその構造物の、カメラの後ろの位置にロープを通す穴を設けてある。

筆者も過去にインダクションポッドの高さを低くするアイデアを考案していたが、
インダクションポッドの幅が広くなってしまうデメリットを解決できるアイデアが思い浮かばなかった。
実際、「MGP W01」のインダクションポッドの幅は広く、空力上不利なのではないかと筆者は懐疑的だ。

エンジン・エア・インテークの中には縦の仕切りの様な物が見える。
尚、童夢も日本のGTレースで NSX のシュノケール型エンジン・エア・インテーク内に巧妙な仕切りを何タイプか使用していた。

ところで排気管がカウルから飛び出している様に見えるのだが、これは合法なのだろうか?
昨(2009)年にフェラーリが F60 をシェイクダウンした際に、排気管がカウルから飛び出している事を指摘され、
排気管とカウル周辺を作り直す羽目になっていたが…。

「MGP W01」については、まだダウンロードできる写真が少ないので、更なる写真のアップを待ちたい。

(このページの最新更新日:2010.02.01月 Pm 11:48

上で、

> ロワアームの車体側取り付け方法が、
> 昨(2009)年のレッドブルの様にノーズ下面を丸みをおびさせ下方へ膨らんだ形状として、
> ロワアームを長くして車体に取り付けているのかもしれない。
> ノーズ下面を丸みをおびさせると、コーナリング時に空力挙動がマイルドになると思われる。

と記しましたが訂正します。新たな写真を観ると、どうもロワアームの取り付けはセンターキールの様です。

(このページの最新更新日:2010.02.04木
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