2015年 2月1日(日)、メルセデスのニューマシン、「W06」が公開された。
この「W06」の写真は、F1通信 等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。
フロントウイングは5枚+カスケードの構成で、全体的に気流を外側へ向けている。
メインウイング上には、気流を横へ向けるベーンが着く。これはウイング上の高圧を大気へ作用させる効果は維持してある。
フロントウイングの翼端板の後端はフラップと触れておらず、その隙間から高圧流を外側へ排出させている。
ノーズ横の、ガルウイング式カメラマウントは引き続き採用されている。
これはノーズ上面の高圧流の左右への振り分け方をコントロールできる筈だ。
ノーズ下のターニングベーンは4枚づつの間隙式に見える。
こうした理由は、この部分で流速を低下させたくなく、車体下方へ勢いのある気流を供給したいからだろう。
注目なのはタイロッドがロワームの高さになった事だ。
これで重心は下がりそうだが、ステアリングロッドが長くなり、関節のジョイント部も増すであろうから、総重量は嵩むと思われる。
気流の状態はタイロッドが上にあった方が、重要な下流が綺麗になる気がするが…。
昨年に引き続き、後ろ側ロワアームが前進した位置で、剛性より空力を優先した設計なのが独特だ。
サイドディフレクターは間隙タイプとなっているかもしれない。
サイドポッド上面前端上側の水平方向に渡すベーンの上にフィンが着くというデザインも新しい。
アンダーパネル両端は、規定で半径50mm以内のRをつけられるが、捲れる部分を2箇所としており空力処理が細かい。
今年もコークボトルラインは下部を狭く絞り込んでいる。
これはフットボックス下部からサイドポッドのアンダーカットを経由して来た気流を速く引き抜くのに都合が良さそうだ。
インダクションポッドは上下2分割された。
恐らく上側がオイルクーラーの流路で、下側はエンジンエアインテークなのだろう。
インダクションポッド下部のセパレーターの手前は1本の小さなステーになり、
2本のステー式と比べて剛性は落ちる代わりに空気抵抗は少なそうだ。
ディフューザー後端の上には規定内で取り付けられるガーニーリップがあり、
現在の低いディフューザーの規定下では、これは必須アイテムだろう。
昨年のチャンピオンチームだが、リヤウイングのステーは2本でスワンネックでもなく保守的なのが不思議だ。
モンキーシートの翼端板は昨年同様大きい。
リヤウイング翼端板には、後輪の後ろ側へ排出するスリットが2本切ってある。
メルセデスで今季へ向けてのマシン開発は、行われたのは革新ではなさそうだが確実に進化させてある印象を受けた。
ドライバーは昨年と同じくルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグのコンビだ。