メルセデス W10 text by tw (2019. 2.13水)

2019年の改定されたレギュレーションは、F1通信のページを参照。

2019年 2月13日、メルセデスのニューマシン、「W10」が公開された。
この「W10」の写真は、F1-Gate.comのページを参照。
では筆者の私見を記していこう。



今年もメルセデスのノーズ先端は、中央にコブの無い低いタイプだ。
ただしノーズの側面下部にはトンネル状のフェアリングがあり、そこへノーズ左右の気流を吸い込んでいる。
これは2017年のスペインGPで導入した「ノーズ下のエラ」の進化バージョンだろう。
これによりノーズホールと同様に、フロント下部の気流の活性化が行われているのだと思う。

フロントサスは今年もハイマウントウィッシュボーンを継続しており、車体を前から見てアッパーアームは水平に近い。
ブレーキダクトも上方にあり、フロントウイングが跳ね上げる気流の変動に大して挙動が鈍感にできているかもしれない。



モノコックは、フロントサスのプッシュロッド車体側取り付け位置で左右へ幅を広げて、
できるだけ高くレイアウトしたロッカーを収めるコブ状となっている。
これによりプッシュロッドにハの字の角度が強まり、フロントサスの作動性が良好となる。
元々モノコックは後退する程に幅が広まるので、先にこの部分を広げておいても大して空気抵抗にはならないだろう。

尚、これと同様の手法は5年前に筆者も発案しており、2014年 8月10日に本サイトで公開している。
2015年用 F1マシン空力デザイン(Web公開日: 2014. 8.10日)



ウインドシールドはギザギザのノコギリ型を継承。

リヤビューミラーは左右2本づつのステーで固定してある。
前後方向のステーは大きく前進させる形状で、他車と比べてミラーをかなり前方にレイアウトした。

バージボードとサイドポッド前部は非常に造り込まれており、筆者がテキストで説明する気力を失せさせる程に複雑にチューニングされている。

昨年ウイリアムズが用いた、エンジンカウルの規定の隙間に補助ウイングを2段備えている。

後輪手前のアンダーパネルは、レギュで許可されている高さ内で、背の低いベーンを多数備えており、
小さいゲインでも得られるものは得ようという貪欲な姿勢が見て取れる。

後輪手前のアンダーパネルのスリットは今年も多数切られている。

後輪ホイールの、ブレーキ熱を排出する部分は、昨年から使用しているザラザラ処理がなされている模様。
これは意図的な細かい渦流を発生させ、リヤブレーキ廃熱に有利な何かを得ようとしている。

リヤウイングステーは2本になり、振動に強くされた。

「W10」は全体的に昨年車の進化型に思えるが、各部の工夫に抜かりは無い感じだ。
ただ細かい事を云うと、サイドポッド上面前端のリフト対策だけは、他チームに遅れをとっているかもしれない。
ドライバーは、昨年から引き続き、ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスのコンビだ。

(このページの最新更新日:2019. 2.13水
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