メルセデス W12
text by tw (2021. 3.03水)
F1グランプリ界は、2020年に猛威を振るったチャイナ・ウイルスの影響で、経済的な観点から、
2021年度のF1マシンは、前(2020)年シーズンの車体の基本的なエリアを流用とする事が決まっている。
しかしF1エンジニア達の事なので、そのルールのギリギリまで攻め込んだ車輌開発の上乗せを行ってくるのは想像に難くない。
規則には、既存マシン(2020年車)から、変更できるエリアと変更が不可なエリアと記述されていると思うが、
それについてあまり報道されていない様なのもあって、筆者もその辺りの詳しい規則は知らない。
そして2021年 3月02日、メルセデスの2021年用マシン、「W12」が公開された。
この「W12」の写真は、F1通信jpを参照。 それでは以下、筆者の私見を記す。
まず車体の色が黒くて詳細な形状が判らない。
ノーズは昨年までのタイプを踏襲。
フロントウイングは今年もアウトウォッシュよりも最大ダウンフォース発生量を重視したフラップ形状。
この事から、リヤのダウンフォース発生量も大きい事が判る。
翼端板の内側には、前輪の温度センサーがある。空力的に邪魔をしない位置だ。
フロントサスペンションは、今年もハイマウントウィッシュボーン。
昨(2020)年にメルセデスが導入した「DASシステム」は今シーズンから禁止となっている。
今年も、プッシュロッドの車体側取り付け位置は、モノコックの幅を最小規定よりも敢えて幅広くして、プッシュロッドの角度を立てて、サスの作動性の向上に寄与している。
サイドポッド上面から側面にかけてのラインは、レッドブル型に近づいた様な印象を受けたが、なにぶん詳細な形状が判らない...。
エンジンカウルにはパワーユニットを収める、比較的大きめなバルジ(膨らみ)があり、PUの構造に変化があったと想像できる。
テクニカルディレクターのジェームズ・アリソンは、発表会の写真では2021年用のアンダーパネルは装着しておらず、まだ隠しているとコメントした。
後輪ホイールはマクラーレンの様に多数の溝付き。
ドライバーは引き続き、ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスのコンビだが、
最近やっと更新されたメルセデスとハミルトンの契約が「1年」となっているのは、彼は今季限りでの引退を視野に入れているという事だろうか?
タイトルを量産して来てもう精神的に疲れているのかもしれないのと、
2022年には大幅に変更されたテクニカルレギュレーションとなり戦力図が不透明になる事も関係あるかもしれない。
(このページの最新更新日:2021. 3.03水)
(4/15更新)
メルセデスが何年か前に投入し、今では他チームが追随しているノーズの下のヒレ、「ケープ」だが、下図の気流進路となっている様だ。
黄色がノーズコーン、黄緑がケープだ。(上面図)
この様にノーズ上面で気流を左右へ分ける為に、ノーズを細くする必要があった。
ノーズ横で、気流を一旦加速・減速する為に、ノーズ下へ向かう気流の運動エネルギーがやや減少する。
正面衝撃吸収テストに合格する為に、ノーズコーンの重量が増すデメリットがある。
ただし、現行のレギュ下で、ノーズ下方へ多く気流を供給する手法の一つではある。
(このページの最新更新日: 4.15木)
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