F1通信に2017年からの規定について記事がアップされている。
2017年のマシンは、現行よりも「5秒速く」、「攻撃的な外見」、「限界でドライブするのを難しく」する事が目標にされている。
そして前車へ接近して失うダウンフォース量を軽減し、コース上での追い抜きをより多く実現したいという事だ。
ではそもそも、ラップタイムを短縮するとはどういう事か?それは、
ストレートを速く駆け抜ける事と、制動距離の短縮、コーナリング速度の向上、の3つの項目から成る。
ストレートを速く駆け抜ける為には: パワーユニット出力の向上、車輌空気抵抗の減少、車輌質量の減少
制動距離の短縮するには: タイヤのグリップ力の向上(メカニカルと空力ダウンフォースの向上)、車輌質量の減少
コーナリング速度の向上する為には: タイヤのグリップ力の向上(メカニカルと空力ダウンフォースの向上)、車輌質量の減少
後輪の幅は、現在の325mmから450mmへワイド化する可能性が高そうだが、
これは簡単にラップタイムを短縮する一方で、ドライビングの難しさ向上には寄与しない。
過去に、1993年からリヤタイヤ幅が18インチから15インチへ狭められたが、これはマシンのドライブを難しくしたのだった。
ワイドタイヤはドラッグ(空気抵抗)が大きくなり、スリップストリームの効果は上がるが、
しかしこれはボディワークのレギュレーションで調整すべき項目だろう。
細いタイヤは、最高速を増し、制動距離を長くする。それは追い抜きを促進する要素だ。
タイヤの直径は、現行の660mm(=ドライタイヤ。レインは670mm)から700cmへ大きくされる様だ。
これはラバーの磨耗を軽減する。そしてより縁石を大胆に乗り越えられるだろう。
タイヤ径を大きくする事は最小質量の増加を意味し、ホイールテザーはより大きな荷重に耐える必要がある事も忘れてはならない。
リヤウィングの高さは、現在の950mmから800mmへ低くされる事が考えられている様だが、これは賛同できない。
ロワウイングを復活させるならば尚更だ。何故なら、リヤウイングが低い程、これがディフューザーのフラップとして作動する為だ。
フラップがディフューザーへ近ければ、空力的に前車からの気流変動に敏感となる筈だ。
そういう理由で1995年以降の800mmから、2009年に950mmへ高くされたと思うのだが、
今回の2017年へ向けてのレギュレーションは、過去の時代経験の無い人間が意見を出しているのか???
ただしリヤウイング幅を現在の750mmから1000mmへ広げるのは前述のフロントウイングと同様の理由から賛成だ。
ワイドなリヤウイングは広告スペース上のメリットも大きいだろう。
ディフューザーは、車体底面で大きなダウンフォースを発生させる為に、
跳ね上げ開始位置が後輪車軸から前方330mmと前寄りにされるなら、これは2008年までの前後位置だ。
高さはリファレンスプレーンから上方に225mmという事だが、もっと高くて構わないのかもしれない。
前後ウイングを薄くして、ダウンフォースのほとんどを車体底面で発生する様にすれば、最も前車へ近づけるのではないだろうか。
ホイールベースに制限がかけられる事は筆者は賛同しないし、現在の前後重心位置が自由にできない規定にも反対である。
車輌の前後重心位置はドライビング手法とワンセットであって、重心のワンメイク化はコース攻略の選択肢を狭めるものだ。
F1が自動車レースの最高峰ならば、最低限のラインは、自由な開発と方法論が試されるべきではないのか?
タイムを短縮する:
・シーズン中にタイヤメーカーのコンペ・テストを行い、タイヤ性能でラップタイム基準に満たないメーカーは参戦できない。
・ボディワーク規定変更でよりハイ・ダウンフォース仕様とする。
・パワーユニットの時間あたりの燃料流量量を1000馬力を目安に増加。
・パワーユニット開発可能エリアの緩和。
攻撃的な外見の実現:
・空力開発可能エリアの緩和。
より追い抜きをし易くする:
・車輌の最大幅は、現在の1800mmのまま。
・フロントウィングは、幅は現在の1600mmから1850mmへ広くする。
・リヤウィングのサイズは、高さは現在の950mmのまま、幅は現在の750mmから1000mmへ広げる。
・フラップ効果抑制と高ドラッグ化の為にロワウイングは禁止。
・サイドディフューザー跳ね上げ開始位置は後輪車軸から前方500mm、高さはリファレンスプレーンから上方に250mm。
ドライビングを難しくする:
・後輪のサイズは、幅は現在の32.5cm、直径は現在の660mm(ドライタイヤ)のまま。
・最低重量制限を50kg引き下げる。
・車体の前後重心位置とホイールベースは自由。
以上。