「マスダンパーについて考察」 text by tw  (2008. 8.20水)

田宮のWebページで、「ミニ四駆限定 ミニ四駆PRO MSシャーシ Evo.I」という物を見つけた。
Item No:94661 2008年8月09日頃発売 5,250円 (ダブルシャフトモーター・電池・カウル無し)。
一見すると、フロントに2つ、リヤに1つ、金属製の初めて目にするパーツが搭載されており、これはマスダンパーだと云う。


マスダンパーとは、車体に搭載した重りを上下のスプリングではさみ、
車体の揺れを打ち消す様にして重りが上下し、車体姿勢の安定化に寄与するアイデアである。
F1GPでは2004年頃から2006年に流行し、特にルノーが開発に成功しチャンピオンを獲得しているが、
2006年シーズン半ばに、空力部品は可動してはならないと云う車輌規則により禁止された。


果たして、このミニ四駆でのマスダンパーは走行性能に寄与するのだろうか?
その答えは実際に走行テストしてみれば判明するだろう。

筆者はマスダンパー搭載ミニ四駆の走行テストを行っていない為、ここからは推察・考察となるが、
マスダンパーはコースアウト防止効果に寄与する事があっても、ラップタイム短縮にはつながらないのではないだろうか。

田宮のミニ四駆公認レース規定では、車重は90g以上なければならないとされている様だが、
どんなに車体を軽量化しても、レース仕様車では90gより軽くなる事は恐らく無いであろう。

2004年頃から2006年にF1GPでマスダンパーが性能を発揮してラップタイムを短縮できた理由は、
F1GPの車輌規定ではドライバーが搭載した状態で車重は605kg以上でなければならない事情があり、
実際の車体のみの純粋な重量は450kg程度で、それにドライバーが約70kg程、これでは520kgの重量しかなく、
75kg程の追加ウエイトを搭載しないと605kgに達しないという理由があった為である。

筆者は現状のレース仕様のミニ四駆の車重について知らないが、恐らく100gから125g程度ではないだろうか。
その為、例えば、ミニ四駆公認レース規定が、車重は150g以上なければならない、とされていれば、
マスダンパーは搭載した方がラップタイム短縮につながる可能性もあると思われる。

現状のミニ四駆でマスダンパーが走行性能に寄与しないとしても、しかし、
どんな物でも取り入れチャレンジしてゆく発想自体は大いに評価したい!と筆者は思うのである。



F1GPでマスダンパーがラップタイム短縮に寄与したのは上で述べた通りである。
F1界のマシン開発では、日に日に着実とパーツの軽量化が進み、
過酷なクラッシュテストに合格できる上で車重は450kg程度となっている様である。

その為、車体底部に、比重の重いタングステンのプレートを装着する事で、
車輌規定を満たし、且つ、低重心化を実現し、前後重心位置のセッティング変更も達成できているのである。

もし仮に車重が自由なレギュレーションであれば、
マスダンパーを搭載するよりも軽量化を優先した方がタイムは速い可能性もあるが、
F1では空力性能がラップタイム短縮に非常に重要な為、
マスダンパーによる車体姿勢制御は空力性能に寄与する為に、これは判断の難しいところだと思う。

ただし、マスダンパーは車の乗り心地を改善できる為、市販乗用車には有効かもしれない。

(このページの最新更新日:2008/ 8/20

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