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「4代目プリウスの写真と空力学考察」 撮影 & text by tw



柵がやや視界を遮ったが、4代目プリウスの車体下部を撮影できた。
まずはフロントから。



フロントアンダーは完全にフラットではない様だ。乗用車にしてはフラットな方なのかもしれないが、どうせやるならば完璧を目指してほしいところだ。

そして左右下側のライト形状が窪んでいるので、車体側面へ向かう気流を乱してしまっている筈だ。
下のCGで筆者の解決案を掲載しておく。



水色の枠で示す様に、クリアなパネルで覆えば空力を阻害しないが、製品デザイン上、却下なのか? 資源・環境問題よりもルックスが重要なのか?




乗用車によくある配置で、前輪のブレーキパッドは前側、斜め上の位置。
車体の重量配分の面では、重心高や慣性モーメントが大きくなってしまう最悪の位置で、パッドの冷却にも不利だと思うが、
この位置としている理由の可能性があるのは、以下の項目だ。

まず、ステアリングロッドが後ろ引きとなっている可能性がある。
パッド部は幅があるので、ステアリングロッドとの干渉を避ける為だ。

そしてアームやロッドは様々な理由で、長い方がサスペンションの性能に優れる。
アームが長い方がストローク時のトレッド変化が少なくなるし、
操舵力の軽減(とパワーアシスト力の軽減=燃費向上)の為に、アームをキングピンへ近づけたい。
更に、キャスター角の関係でロワアームが車軸より前へ出ているのならば、パッドをやや斜め上にしてあるのも納得がいく。

これらは乗用車に精通しない筆者の憶測だが、実際のところは果たして…?




ドアの取っ手と、前後ドアの接する面。



ドアの取っ手の後方をティアドロップ状にしたら抵抗が減るかもしれないが、
その前の段階で、上CGの様に気流が乱れてしまうかもしれないので、あまり関係ないのかもしれない。
ティアドロップにするならば、後ろのドアを開く際に干渉させない工夫も必要となる。




後輪のブレーキパッドは、やはり他の乗用車でも見られる通り、後ろ側、斜め上の位置で、
これも、車体の重量配分の面では、重心高や慣性モーメントが大きくなってしまう最悪の位置だ。ただしパッドの冷却には有利だろう。
もしかするとトーアームが前側にあって、乗用車ではアームが太く重い為に、パッド一式よりもアーム類の質量が上回って、それでこの位置となっているのだろうか?

それとは別に大昔に何かの話で、制動時に作用する力学的な理由から、乗用車ではこの位置となっていると読んだ様な気もするが、詳しく思い出せない。




流体の理論では、ボディ後端をティアドロップにできない場合はカットスポイラー形状とすると抵抗が減る事になっている。
4代目プリウスは上面、側面、下面とカットスポイラーにしてあるが、側面下部はされていない。その理由はもしかすると、




回転する後輪が露出しているので、側面下部では空気が綺麗にボディを沿わないのではないか。
それでカットスポイラーの効果が低く、デザイン性を重視してカットスポイラーを四隅まで徹底しなかったのかもしれない。

ならばホンダの初代インサイトの様に、後輪をカバーすればいいと思うのだが、
当時のホンダの開発陣の話では、リヤ(*おそらくトレッド)を狭く絞らないと後輪カバーの空力効果は薄いという事だった。
リヤトレッドを狭くすると、オーバーステア方向となり、走行安定性とトランクルームのスペースでも不利となる。
アンダーステアに関してはセッティングでいかにでもなるとしても、乗用車でトランク積載量を重視したいのは筆者も理解できる。




暗くてよく判らないが、ロワアームが車体下面の気流を相当邪魔をしてしまっている様に見える。
カットスポイラーは無いよりはいいだろうという感じか。

(このページの最新更新日:2016. 8.20

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