F1のサスペンション機構について(4) text by tw (2021/11/11木)

2000年、アロウズがフロントサスをプルロッド式にした。
この頃はもうジョン バーナードはこのチームを離脱していたと思う。
F1業界は不思議と、「今速いマシンのトレンドを追ってしまえ!理由はどうでもいいから!!」という謎の文化があるのはもう確かで、
マクラーレンがノーズ先端の低いマシンで、1998年のドライバー&コンストラクターと1999年のドライバーズチャンピオンシップを獲得し、界隈を席巻した事で、
F1で1999年から2000年代初頭に、ノーズ先端の低いマシンが流行してしまった。
筆者はノーズ先端を低めても、マシンに対してデメリットしかないと考えていたし、今(2021年)でもその考えは変わらない。
しかし2000年にノーズ先端を低める決断をしたアロウズが、ならばプルロッドにしてしまえ!というのがこのマシンだ。
フロントの左右のトーションバーは前後方向に水平に置かれて、低重心化したと記憶している。


2001年、フェラーリがリヤダンパーでスルーロッドシャフト。要はシャフトがダンパーの筒を突き抜けている。
普通のダンパーがストロークすると、ダンパーの筒の内部へシャフトがどんどん浸入してくるので、それによって内部容積が変化する不都合があって、
普通のダンパーは、中にフリーピストンと圧縮ガスを備えてあって、シャフトの侵入量の容積変化をガスが圧縮されて吸収する。
そこで2001年のフェラーリのリヤサスは、ロッドをダンパーに貫通させておいて、内部容積変化が起こらない様に工夫した。
これはダンパー単体の性能としての発想は素晴らしかったが、
F1車輌の場合、ギヤボックス側面にダンパーユニットを置くと明らかにそれが空力性能を阻害してしまうから、車のパッケージとしてはあまり良くない考えであったと思う。


2003年、フェラーリがリヤサスのプッシュロッド受けをロータリー(回転式)ダンパーにした。
これはリヤのロッカーと一体型のロータリーダンパーで、中に羽根があり、オイルを回して減衰力を出したらしい。ザックス社の製品らしい。
これでギヤボックス内部、つまりトランスミションの外側に筒型ダンパーを配置しなくて済み、ギヤボックスケーシングを細くできた筈だ。
しかし、ダンパーの構造が上部に集中する事で、機械的に重心高は上がったと思う。
後にトヨタはリヤのロータリーダンパーを採用したが、他チームはあまり追随しなかったと記憶している。


(気力があれば後日続く。)

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