F1サスペンション機構について(7)
text by tw (2021/12/09木)
2011年ロータス、前後のサスペンションを油圧配管で連結し作動制御する、FRIC(Front and Rear Inter-Connected)システムを開幕戦から実戦投入。
(この「ロータス」というチームは、前身の「ルノー(2010年まで)」を引き継いだもので、
あの究極の天才発明家のコーリン チャプマンのチームとは全く関係無い、名前だけの商業的な出来事だったと筆者は理解している。
この「ロータス」は2016年から再び「ルノー」へ名前が戻り、2021年からはルノーブランドの「アルピーヌ」へ名前をチェンジしている。)
FRICはメルセデスも同じ時期から搭載していた模様だが、少し話が脱線するが、筆者もだいぶ昔に似たサス機構をメモしていた。
筆者の発想の理屈は、(当時の)パッシブサスは前後の地上高が、ブレーキング時に荷重移動でフロントが下がってリヤが上がるから、
なので前後サスのピッチコントローラーを油圧配管で連結し、配管の中間で、もう一度、油圧シリンダーのペアを備え付け、
アンチ ロールバーならぬアンチ ピッチバーの役割をするトーションバー スプリングを仕込めば、荷重移動による前後車高変化を軽減できるだろうと考えた。
ただデメリットが、全部で油圧シリンダーが4本も要り、質量が重い事だった。
置き場はレギュ的にフットボックスの前方の余り領域しか思い浮かばなかった。
パーツ数が多く複雑で重たい事から、これではレースで採用するメリットにならないだろうなと思い、すぐにスケッチをどこかへやってしまった...。
話を戻してF1のFRICだが、
この機構を使用する事で、ブレーキング時および加速時の、車体の前後のライドハイト(地上高)を制御して、
それよりむしろレーキ(車体の前傾角)を調整する事で、空力性能に寄与していたのかも知れない。
このシステムは、作用する力学が完全に受動的なので、可変空力が禁止のレギュ下でも合法だった。
FRICの具体的な仕組みは、フロントとリヤサスのピッチコントローラーに油圧シリンダーを接続させて作動させる。
筆者の想像だが、互いの油圧シリンダーの「径」と「ピストンの面積」の違いを持たせて設計すれば、油圧が作用する力の比率を設定できる筈だ。
これで、2本の油圧シリンダーと配管以外には機械部品を使用せずに軽量コンパクトでF1的でレーシングなアイディアだ。
このFRICは、来(2022)年からサスの油圧デバイスに制限がかかり禁止されると筆者はどこかで読んだが詳しい事情は知らない。
F1GPは大昔からずっと、数々のデザイナーやエンジニア達による溢れる様なアイディアの数々から、技術的にマシンがどんどん速くなる一方で、
それを見る統括側がルールを書き直し規制して、の繰り返しで今日までやって来た筈だった。が、
実際、今(2021)年はエンジンというかパワーユニットは開幕前に登録された出力値より増加が認められない凍結状態になっているみたいだし、
(実際の文面を観ていないので細かく断言できないし、知らん。)
もし例えば今年、鈴鹿で日本GPが開催されていて、ホンダの地元の日本グランプリで、更に20馬力パワーアップしたニューのエンジンを投入できないと知ったら、
もし今ご健在なら本田宗一郎さんはご不満全開100%で怒っただろうなぁ・・・。「何の為のレースだ!!!」ってF1界へ雷落とすだろうな・・・。
例えば、もしも省エネとカーボンニュートラルの目的で、音楽ライブ会場で、全ての楽器やマイクの電源の電気をカットしたら、チケットを買った観客は何て思うんだろうね??
将来、F1GPの出走車輌が、1社ワンメイク化にならない事を祈るばかりだ。
[8へ続く]
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