フェラーリF187 撮影& text by tw (2015. 5.21木)
鈴鹿サーキットに展示されている1987年のフェラーリを撮影できたので掲載する。
F187は、鈴鹿サーキットでのF1グランプリ初開催で優勝したモデルだ。ゲルハルト・ベルガーは、何かとメモリアルレースで優勝を収めるドライバーだった。
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ノーズが低い時代で、フロントサスペンションはプルロッド式だ。
ウィッシュボーンのV字角は弱く、当時としてはフロントロールセンターは高い部類か。
ツインターボなので、左右のサイドポンツーン上側から吸気を取り入れている。
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フロントサスペンションは、制動時にアンチアイブ特性がついている様だ。それは後輪駆動の場合、アッパーアームを弱く後傾させ、ロワアームを強く前傾させると得られる。
コクピットが前方に寄っていて、正面衝突時にドライバーの脚が危険なパッケージレイアウトだが、当時はこれが普通だったのだろう。
ウインドシールドは、コクピット開口部より前に装着している。
ドライバーの頭部を守るロールバーは空力処理を施してはおらず、リヤウイングへの気流は乱れているだろう。
サイドポンツーンは低くフラットで、上面で空力効果を得る発想はまだない。
リヤウイングは3枚構成の間隙フラップ。
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ホイールベース短縮の為か、トランスミッションがリヤオーバーハングにあり、Y軸(ピッチ)とZ軸(ヨー)の慣性モーメントが大きく、且つ空力効率も下げてしまっているだろう。
リヤサスペンションもプルロッド式だ。
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ディフューザーは両端が高く、中央がやや低く設計されている。
これは車体底面へ両脇から気流が吸い込まれる分、サイドは多く気流が抜け、中央では入力がハイノーズでない為、抜ける流量が少ないのだろう。
ディフューザーの跳ね上げ開始位置は、後輪の前端からなので、コークボトルテールは後方まで伸びばされている。
ディフューザー上面では流れの圧力が増していく為、カウリングがないと気流進路が乱れるのだろう。
(このページのここまでの最新更新日:2015. 5.21木)