このハンガロリンク・サーキットのこの第2ストレート・エンドでは、
左端ストレートラインにあるマシンをコースの右端へ寄せ、
次に高速の左コーナーへ備えて操舵するのが通常のレーシングラインであるが、
マッサの頭部がストレート走行中に、他車が落としたパーツの衝突に拠る衝撃で(恐らく)一時的に失神してしまった為に、
マシンの位置と角度がストレート左端のまま、次に迫るコーナーを直進し、大クラッシュとなってしまった。
他車のパーツがマッサのヘルメットに追突したが、最後の最後の幸運として、
パーツがバイザーを貫通する事は無く、ヘルメットの高い強度を持つ部分に衝突した事でマッサの命は助かった。
第二ストレートを260km/h〜280km/hの速度で走行中。 画面表示左側のスロットル(緑色)は全開。 マシン上部のカメラでは、前方に小さな黒い物体が映されているが、 ドライバーの視線では観えないかもしれない。 | → | 何故か小さな黒い物体が浮き上がって来る。 (次は左下の写真へ。) |
小さな黒い物体は、コイル・スプリングである事が確認できる。 | → | スプリングがマッサのヘルメットへ衝突 |
恐らくマッサはこの時点で気絶。 | → | スロットルとブレーキの両方を100%踏み込んだままとなる。 (画面表示 左側の、赤色がブレーキ) レコードラインから完全に外れて直進しており、意識を失って居る模様だ。 |
(動画で確認するとこの時点で握力を失っている) | → | ステアリングを左へ切ろうという意思は感じられない。 意識は微かに有るか無いかという状態であろう。マシンは直進状態のまま。 |
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もしスチール・スプリングがバイザーを貫通していたら即死であっただろう。 最後の幸運として、ギリギリの線で彼は一命を取り留めたのだ。 |
右輪ホイールテザーが切れており、 タイヤバリヤへ突っ込んだ衝撃の大きさが判る。 ホイールテザーはアッパーアーム内に有った事が判る。 サイドポッド前側が衝撃吸収効果を発揮している。 | → | |
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ブラウンGPのチーム代表のロス・ブラウンは、ハンガロリンクでの予選中に同チームのバリチェロのマシンから脱落し、 マッサのヘルメットに激突した部品は重さが約800グラムあり、スチール製であった事を認めた。 (この部品は、リヤサスのピッチ・コントローラー(サード・ダンパー)のコンペンセーター・スプリングである。) このスプリングがコースで跳ね、約4秒後にマッサのヘルメットを直撃した。
このスプリングとマッサのヘルメットが衝突した際の速度は、
この衝突の瞬間から、マッサ車は直進状態のままとなった。 |
こういった事故は、先日の7月19日ブランズ・ハッチでのF2レース中、
ドライバーのヘンリー・サーティース(18才)が、飛んできたホイールに頭部を直撃され死亡したばかりである。
メディカルセンターのマッサの所へ駆け付けたR.バリチェッロは、
「彼は意識があったし、動いていて、頭に切り傷がある事にかなり動揺していた。
そのため、落ち着く様にと鎮静剤を与えられ、病院へ運ばれて行ったんだ。」と語った。
マッサはその後、ヘリコプターで搬送され、ブダペスト市内のAEK病院へ15時20分に到着した。
すべての診察を終えて、彼は額の裂傷、頭蓋骨の損傷、脳しんとうを負っている事が明らかになり、
診断を終えて手術が始まったのはその約1時間後で、緊急手術は無事成功した。
術後の経過も順調で、引き続き集中治療室で看護を受けていると発表された。
25日午後遅くに開催された記者会見で同病院のペーター・バジョ医長は、
「マッサの容態は深刻であり生命にかかわるが、安定している」
同病院のラヨス・ジロス外科部長とバジョ医長は、「負傷の重症度を考えマッサは麻酔で眠らせていると説明した。
また予防措置として人工呼吸器がつけられている。」とコメントした。
第一子を妊娠して5ヶ月目の妻ラファエラと、マッサの両親ルイス・アントニオとアナ・エレーナは25日夜、
マッサに付き添うため、主治医のディノ・アルトマンとともにブラジルからハンガリーへ向かった。
25日夜病院を訪れたバーニー・エクレストンは「良く無いね。こういった事はもう起こらないと思って居た。
シド・ワトキンス教授がこの件を検討する予定だ。すぐにでも対策を考える」と述べた。
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