2012年のフェラーリはハイノーズながらもフロント・サスをプルロッド式で登場した。
そこで筆者は、ハイノーズでのプルロッドがストロークあたりどのくらい作動するのか、
方眼紙に10分の1サイズの図を描いて測ってみた。
図が10分の1サイズなので誤差値も10倍となってしまうが、とりあえず大体の作動量を確認してみよう。
上下アームのハの字の角度はF2012の写真から目測で設定。
ロッカー(ベルクランク)の動きは固定として、静止時のピロボールの接続ポイントを決め、そこへのロッドの入/出力量を測る。
フロントのライドハイト(地上高)は、路面とスキッドブロックとのクリアランスを 30mm、
その状態からホイールをバンプ方向へ 30mm ストロークさせ、ロッドの作動量を示した。
青い線がプルロッド。 比較の為に描いた赤い線がプッシュロッドで、モノコック上面の高さは規定一杯の 625mm。
ではその結果は…、同じ 30mm のホイール・ストロークで、
プルロッドは車体から 約10mm 引き抜かれ、プッシュロッドも同じ、約10mm 車体へ押し込まれた。
両者がほぼ同じ作動量となった理由は、上下アームの角度が“ハの字”に降りているからだ。
これは筆者がコンパスの鉛筆でなぞった、アームの軌跡から解る。
非常に高くレイアウトされた現代F1のモノコックは重心が高いデメリットがある。
サス・ユニットを下部へ配置可能なプルロッド式のフロント・サスは、もしかしたら正解…かもしれない。