フェラーリ F138   text by tw  (2013. 2)


2012年 2月1日(金)、フェラーリの2013年用マシン「F138」が発表された。
テクニカルディレクターはパット・フライ、チーフデザイナーはニコラス・トンバジスとの事。
この新車開発に使用した風洞はフェラーリの物ではなく、ドイツのケルンにあるトヨタの風洞をレンタル使用したと云う。
それだけトヨタ(TMG)の風洞は技術的に先端を行っている仕様という事だろう。

この新車の概観は、F1-Gate.com 等を参照。それでは以下、車体の概観から筆者の私見を記す。



空力コンセプトは、今季もハイモノコック、ハイノーズだ。
ノーズ上面には、段差を隠す為に化粧カウルを装着してある。

フロントウイングのステー前縁の形状が特徴的で、ノーズ付近の部分が前進している。
これは、化粧カウルを利用したノーズの衝突安全基準を満たす為の補強部材かもしれない。
尚、このステーは後退する程に内向きとなっている様だ。

フロントウイングは新設計の仕様で登場した。
レッドブルの様に、フラップの立ち上げに外側へ向かうほど後退角をつけ、ウイング上面の高圧流を外へ流す設計だ。
フロントウイングの形状は、車体全体の空力コンセプトに支配的な影響を及ぼすので、この時点でフェラーリの空力面の見直しが見て取れる。

フットボックス下部で気流を左右へ別けるセパレーターは、後ろ寄りとされている。
これは車体底面の空力にダイレクトに影響を及ぼすエリアで、F138の空力特徴の一つだろう。

昨日発表されたマクラーレンとは対照的に、サイド・ディフレクターは外を向き、サイドポッドのアンダーカットの最大幅となる位置は前寄りだ。



インダクションポッド側面の、エンジン・エア・インテーク部より下の部分は、やや幅狭のデザインとされている。
このエリアの幅は、ドライバーのヘルメットが起こす乱流の整流効果と密接な関係がある。
単純に云えば、幅が広ければヘルメットからの乱流を整流し易いし、狭ければリヤウイングへ導く気流のエネルギーの低下を軽減できる。

エンジンカウル・エンドは、レッドブルの様な大砲型の排気とはしていない。ここはリヤエンドの考え方の分かれるところなのだろう。

リヤ・サスペンションのプルロッドは、レッドブルの様にかなり前方へと伸びている様だ。
これはパッケージ・レイアウト上の都合からだろう。

リヤウイングの翼端板の後部は、縦に2段のスリットが切られている。
尚、これと似た事は2004年頃にミナルディが行っていたし、2004年当時に筆者も先に発案・スケッチしている。

(このページのここまでの最終更新日:2013. 2.01金 Pm 9:48

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