フェラーリ SF71H text by tw (2018. 2.23金)
2018年 2月22日、フェラーリは2018年用マシン「SF71H」を発表した。
この新車の概観は、F1-Gete.com 等を参照。以下、車体の概観から筆者の私見を記す。
フロントウイングの内側セクションは、間隙フラップ式で7枚の構成となった。
特に、迎角が急激に立ち上がるフラップ内側エリアのウイング下面の気流の剥離防止の為に7枚もの間隙となっている。
気流は圧力の高い所から圧力の低い所へ流れ込むので、ウイング上面の高圧流をウイング下面へ導くと、ウイング下面の気流の剥離防止に有効だ。
ノーズ先端は中央にコブを設けてテクニカルレギュレーションを満たしつつ、その両側は高く持ち上げるF1スタンダードなデザイン。(メルセデスは除き。)
そのコブの先端は、昨年よりも更に多くの気流を左右へ導ける形状で、車体下方へより僅かでも多くの気流を供給しようとしている。
コブの先端には小さな穴があるが、フロントサスのダンパーか、ドライバーの冷却が目的だろう。
ノーズステーは昨年のマクラーレンの様に、縦の間隙フラップ式で気流を内側へ寄せている。
ここはステーの内側へ気流を導くか外側へ排出するかで意見が分かれるところだと思うが、
「SF71H」は前者として車体下方へ少しでも多くの気流を供給している。
ノーズホールは、上面からの写真で開口を確認できた。
フロントサスペンションは、メルセデスの様なハイマウントウィッシュボーンとはしなかったのは筆者としては少し意外だった。
モノコックサイドから生えるカナードはシンプルだが効果的な形状。これはフロントウイングが跳ね上げた気流を下方へ向け直す。
下方へ投影されるアンダープレートのデザインも考慮すると、無駄が無いカナード形状とも言えそうだ。
サイドディフレクターとサイドベーンは簡単な形状で、まだまだ煮詰められる様に思えるが、これも発表会仕様か?
注目されるサイドポッドのエアインテークは仕切られて、前2つづつ、上1つづつという構成。
この辺りはより多くの写真を待ちたい。
今年から導入される"ハロ"は、上面後端にガーニーの様な突起が見える。
これはボルテックスジェネレーター(渦巻き発生装置)として、ハロの後流の剥離を防止しているのだろう。
サイドポッド後半は、レッドブルやメルセデス同様、非常に絞り込まれた。
そのコークボトルラインは、下部が幅狭く、上部が幅広い。
前者はディフューザーに高速でクリーンな気流を供給する為で、後者はサイドポッドの排熱に必要な開口量だ。
昨年の"Tウイング"規則の名残りで、今シーズンは"ギヤボックスウイング"が流行の兆しだが、
「SF71H」はそれを中央から左右へ、下方へ湾曲したウイング形状とした。
このウイングは、サイドポッド上面の高圧流と、それとはやや距離をおいたリヤウイング下面の低圧流との連携を担っていそうだ。
リヤウイングステーは今年も2本で、空気抵抗の軽減よりも、走行中の振動でリヤウイング本体がブレる事を防止している。
評価は開幕までもう少し待ってみたい今年のフェラーリだ。
ドライバーは、引き続きセバスチャン・ヴェッテルとキミ・ライコネンのコンビ。