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ハース VF-18   text by tw (2018. 2.15)

2018年のF1ニューマシン登場の一番手はハースとなった。2018年 2月15日に「VF-18」が公開された。
この新車の写真は、F1通信 等を参照。

ハースはフェラーリと技術面でパートナーシップ関係にあり、
今年のマシン「VF-18」にも、フェラーリのパワーユニット、ギアボックス、そして他のいくつかのパーツの供給を受けている。

シャーシはどうやらハースチームではなく、イタリアのレーシングコンストラクターのダラーラが設計か製造を行っている様なのだが、詳しい事はよく判らない。



さて、今季の新規定で、頭部保護デバイスの「ハロ」が義務付けられた。
車輌の最低重量は、ハロの導入を補う為に 6kg増の 734kg へ引き上げられたが、しかしハロの重量は 14kg程 になると言われている。
そうであれば、今季はより車体の軽量化が重要課題となるだろう。

そして今季から「トリック・サスペンション」が禁止された。
これはフロントサスのプッシュロッドのアップライト側の接続ポイントを、
キングピン(上下アームのアップライト側ピボットをつないだ線)上よりも内側へ設計した物で、
ステアリングを大きく操舵した際に、短いプッシュロッドの関係から、フロントの地上高を低くする様に作用する。
このアップライトとプッシュロッドの設定次第で、操舵時のロール角も変化させられる。
このシステムが、FIAは「操舵時に明らかに空力性能へ影響を与えている」と判断し、空力部品は可動してはならないという理由を用いて禁止となった。

これで今季から、プッシュロッドのアップライト側の接続ポイントがキングピン上に設定されれば、
より低い操舵力でステアリングを操作でき、パワーアシストステアリングに必要な油圧が少なくて済んで"エコ"だ。
トリックサスペンション時代のステアリングはフロントサスを強制ストロークさせていたので、パワステは必須で、とても人間の力だけでは操舵できなかっただろう。

ボディワークの規定変更は、シャークフィンの面積縮小と、Tウイングの禁止だ。



それでは以下、VF-18の車体の概観から筆者の私見を記す。

フロントノーズ先端はトレンド通りで、中央に規定をクリヤするコブがある。
そのコブの左右から、車体下方へ少しでも多くの気流を供給する設計だ。

フロントウイング下面のスプリッターは3枚で、トレンド通り、後方へ向けてストレートな形状。

前輪のブレーキダクト下部には、下方へ湾曲した整流パーツが見える。

モノコック側面のカナードは昨年よりも短くされた。
これはおそらく、車体下方への誘導効果よりも空気抵抗の軽減へチューニングした事が考えられる。

リヤビューミラーは、やや左右へ離された。
昨年からF1ではミラーのステー形状を工夫してフロントウイングの後流を整えるのがトレンドだが、VF-18では特に工夫の跡は見られない。

サイドポッド前部両端のサイドベーンは、水平方向に複数のスリットが切ってある。

サイドポッド上面の前側は、黒くて暗くてよく判らないが、どうやら昨年のフェラーリと同じ様なタイプの様だ。
これは従来のサイドポッド上面の前部で発生していたリフトを軽減する効果がある。

サイドポッド上面もトレンド通りで、上面が後方と左右へ向けて沈み込んでおり、流速が低く、圧力が高い気流を後方へ流している。

サイドポッド側面のアンダーカットは大胆で、前から後ろまでずっと下部を狭めている。
これにより大量で高速の気流をリヤディフューザーへ供給でき、空力効率をより高めるだろう。
車体底面で発生するダウンフォースに寄与するので、このアンダーカットの効果は大きい筈だ。

インダクションポッドのエンジンエアインテークは、メルセデスの様にやや横長の楕円形状となった。
このインテークはエンジン吸気だけでなく、ハイブリッドシステムの冷却にも使用されている筈だ。
そして大型化のもう一つの理由として、ハロの導入で気流が乱れ、インテークの充填効率が低下している事が考えられる。

後はマシンが黒くて写真が暗くて、走行写真を入手できるまで細部は判らない、という感じだ。

ハースは2016年からF1に参戦し、2016年、2017年とコンストラクーズ ランキングで 8位となっている。
今のところ特別な"飛び道具"は持っていない様だし、まだまだ洗練できる箇所が残されているマシンに見えるが、今季はポジションアップなるだろうか?
ドライバーはロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンのコンビで継続する。

(このページのここまでの最新更新日:2018. 2.15木

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