フロント・ウイング形状は、左右の翼端下の渦対策部分と、 中央の安定してダウンフォースを発生させたい部分とを積極的に分けるタイプ。 翼端板が前輪の内側へカーブさせるタイプはダウンフォース量が少ない代わりに前輪の空気抵抗を低減させるが、 ノーズ下面がフロント・ウイングの気流を吸い出す事でフロントのダウンフォース量を確保する組み合わせ。 フロント・ウイングとノーズの間隔が狭い事と、 ウイング・ステーとフラップの一体化で、この内部は干渉抵抗が大きそう。 翼端板の下面のプレートは、ルノーの様に小さなトンネル状の吸い出し付き。 ノーズが低く短く後方に位置する事で、真横から見たラインが92年のウイリアムズFW14に似ている。 モノコック位置は、フロントの空気の流れ易さとノーズの前後長を稼ぐ為に、前輪に対して更に後退した様子。 フロント・サスの前側ロワアームは、前輪からモノコックへ向けて後退角すらついているかもしれない。 ただでさえツイン・キールなので、強度確保の重量増の筈。 モノコックの高さは、下部の空間を大きくする為にやや高めで、重心高より空力優先。 偶に見かけるが、ウインドシールドが透明ではないのは何故? ノーズからの乱れがちな気流を整える為か、 フロント・サスの前側アッパーアームの車体取り付け部分は、規定で許される範囲で後方へ翼形延長している。 サイド・ディフレクター下端には、 規定クリヤの為だけではない空力の為のプレートが付き、車体下へ流れ込む気流を制御している。 バックミラーは、MP4-17/Dでは左右に離して前輪の乱流内に置くタイプだったが、 MP4-18では一般的なサイドプロテクター側面整流タイプへ戻った。 これは、プロテクター上面から気流が左右へこぼれる為に、プロテクター側面を垂直には出来ない事が理由 かもしれない。 サイドプロテクター高を低くする為のレギュ・フィンが大きい。 旧車ではフィンを2枚分割する事でプロテクター側面を手前から絞り込んでいたが、新車では1枚となった。 ロープをかける部分は、マクラーレンが2001年から始めたアイディアを継承。 燃料タンクは、目測できるカウルの線から、前後に短めである事が想像される。 サイドポッド上面はフェラーリ同様、後方へ大きく低く落とし込ませている。 こうする事で車体上面は凹形となり、上面の流速低下=圧力上昇し、ダウンフォースが大きくなる。 サイドポッド・インテークの上部の厚さは薄めで、 前輪からの乱流とバックミラー後方の整流には積極的では無いが、サイドポッド上面のリフトは発生し難い筈。 サイドポッド側面には僅かな“コブ”が有る模様だが、空力の為か内部パーツの逃げかは不明。 サイドポッド上の小型ウイングは、ステーと翼をRをつけて繋げたフェラーリ式。 これは、このウイングの車体内側方向への翼端渦発生を抑えてリヤ・ウイングヘの気流を乱さない為。 エンジンカウル後端には垂直の尾鰭が付いたが、高さは規定範囲一杯には使わずやや低め。 後輪内側のフェンスは、後輪側面と多少間隔が空き、フェンス長も車軸より手前で終わっている為、 フェアリング下面から後輪内側へ気流を導いていると思われる。 排気はサイドディフューザー上からの様だが、これがもし車体の空力効率上ベストであっても、 現在のエンジン回転数でこの排気管長は長過ぎるのではないだろうか? リヤ・ウイングは、翼端渦の発生を緩和させる為の3D形状を継続。 ウイングは角度をつける程に翼端渦の発生が強まる為、 リヤ・ウイング両サイドは寝かせ、中央部は角度をつける形状となっている。 [総括] 外から観た限りで、性能の上限の見当はつけられても、 実際に発揮する性能の予想はなかなか難しいが、MP4-18はフェラーリと競える速さを期待する事が出来る 物ではあると思う。 興味深い点は、採用されるのならば、ミシュランの特許という可変キャンバーのシステム。 |
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