マクラーレン MP4-23   text by tw  (2008. 1.08)

2008年 1月07日、マクラーレンの2008年用マシン「MP4-23」が発表された。
写真は、GPUpdate.netや、F1-Live.com等を参照。
筆者はまだ細部を詳しく確認できる写真を入手できていないが、以下、MP4-23の概観から筆者の私見を記す。
各部パーツの呼称については、[各パーツの名称]ページを参照。

車体の全体な概観に大きな変更は見当たらない。

サイド ディフレクターの底面は細かい工夫が施されている様子。

ミラーの位置はやや左右へ離された。

新規定に対応させたサイド プロテクターは立ち上がる形状となり、気流を左右へ別ける形となった事が特徴的だ。



エンジンのエアインテーク周辺はだいぶ変更された様だ。
エアインテーク下端とヘッドレスト上面との間の気流を左右へ別けるセパレーターの位置はやや後退している。

これはもしかすると、後輪に対してコクピットを若干前進させた可能性も考えられないだろうか。
通常はフロント エリアで得られる空力性能を重視して、後輪に対してコクピットは規定内一杯まで後退させるが、
コクピットを前進させれば、前後重心位置を前方に振る面での有利さや、リヤ ウイングへ綺麗な気流を供給する効果が得られる。

1998年以降のF1の車輌規定では、前輪の最大幅が後輪の最大幅と大きくは変わらない為、
前輪のグリップ力を最大限に発揮させる為に、車体の前後重心位置を前方へ設定するのが一般的となっている。
しかし同時に、車体の前後重心位置を前方へ設定する際には、空力ダウンフォースの前後発生中心位置も前寄りに設定しなければならない。
その理由は、コーナリング時に遠心力が車体の前後重心位置へ作用する為だ。

近年のF1の車輌規定では、フロントにダウンフォースを発生させるには、コクピットは規定内一杯まで後退させる方が有利だ。
コクピットを後退させる事は車体のほとんどの重量物を後退させる事となるので、
その為、コクピットを規定内一杯まで後退させた上で車体の前後重心位置を前寄りにする手法として大量のウエイトの搭載が用いられている。
しかし車体の前後重心位置から前方へ離れた所にウエイトを搭載すれば、
車体の重量物は重心位置近くに集中したい本来の設計理念から外れる事となり、慣性モーメントが大きくなってしまう。

よって、フロントに十分なダウンフォースを得られている状況ならば、コクピット位置を少し前寄りにする方法も検討の価値はある。
コクピット位置を前寄りにすれば、燃料タンク、エンジン、ミッション等の大きな重量物が前寄りとできる。

(このページの最新更新日:2007. 1.08
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