2010年 F1開幕戦バーレーンGPの映像と情報記事にて。
冬の間に他チームから違法性が指摘されていたマクラーレンMP4-25のリアウイングだが、
2010年 3月11日(木)、FIA(国際自動車連盟)の技術委員によって検査された結果、合法と認められた。
マクラーレンMP4-25のこれは、エンジンカウルのシャークフィンを薄い筒状とし、その筒の中は空気を流し、
その筒をリアウイングまで伸ばしてウイングと直結させ、筒の中の気流はリアウイング後面へ貫通させている構造の様だ。
この中央スリットによる気流供給で、リア上段ウイング下面の流速と流量を「意図的に」コントロールし、
ストレート速度で5〜6km/h(!)程、車速を向上させるとパドックでは言われている。
更に、MP4-25にはモノコック上面・左側に謎のエア インテークが設けられており、
これはドライバーが左脚の膝でトリガーを押す事により開閉可能だと云う。これも合法と判断されたが、
しかしFIAのF1車輌規定 第3条では、バネ上の全ての構造物は走行中に意図的に可変させてはならないとされており、
今回のFIAの裁定は筆者には全く納得がいかない! (もしかしたら政治的な理由が奥にあるのかもしれない。)
さて、MP4-25のモノコック上面・左側のエア インテークだが、何故「左側にだけ在るのか?」その理由は、
現代F1では、左足はブレーキペダルを操作し、右足はスロットルを操作する。
よって、ストレート走行中ではスロットル全開状態であって右足では膝の上のトリガーを操作する事は不可能であり、
フリーな状態の左足だけがトリガーを操作できると云う訳だ。
つまり、ブレーキングを行う瞬前の左膝ならば、モノコック内のトリガーを押し、空力性能を可変させられる事が考えられる。
このモノコック上面左側のエアインテークは、どうも「リアウイングへの筒」と関連している様だ。
現時点では筆者には不明な点が多く、今はあまり軽率な事は綴らないでおく。
ウィリアムズのエンジニアリング・ディレクター、パトリック・ヘッドは「ロイター」に対し、
マクラーレンのリアウイングには「ダクトを通じて空気が流れ込むと思われるスロットがあり、
そのダクトはドライバーの操作で自由に閉じることができる」と構造を説明した。
P.ヘッドは、「テクニカル・レギュレーション・ボディワークの第3条は、
ドライバーではなくマシンにのみ適用する様な物を制限している、
とチャーリー・ホワイティング(レースディレクター)が言っていることは理解できる。
しかし、我々のリアクティブ・サスが(1993年シーズン限りで)禁止された時、
支柱の中のピストンが動き、そうなる事でマシンの空力性能に影響していたという理由で禁止されたことを覚えている。
チャーリーが言っている事を私が説明すると、ハミルトンやバトンの膝や他の何かは、車輌の一部じゃないと云う事だ。」
とFIAが合法と見なした理由について見解を語った。
さらに、P.ヘッドはドライバーが片手でコクピット内のどこかの穴を通過する気流を塞げば、
空力的アドバンテージをもたらすとも指摘した。
「あるマシンが突然ストレートで5〜6km/h速くなったら、我々全員が同じ事をしなければいけないから問題だ。
もし誰かが他の人達がやっていないやり方でマシンを1周でコンマ3、4秒速くする方法を考えついたら、
その時は彼等は非常に頭が良いと云う事だ。
違法とは言わないが、我々はチャーリーの解釈をすぐに調査しなければならない。」と、
更なる開発競争・コスト増加に繋がると警告している。
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