フロントウイングは6枚構成+カスケードで、
フラップの小さなリンクはアーチ型として、間隙を通過する運動エネルギーを極力低下させない様に配慮している。
フロントウイング上のベーンは、カスケードに小さい物が1つ着いているだけだが、後にアップデートはあるだろうか?
ウイング下のスプリッターは左右4枚づつと多く、細かい空力開発の跡が見える。
翼端板は下部が浮いた様な形で、そこからウイング上の高圧流を外側へ排出している。
ノーズ横側のカメラは気流進路の制御に使っている。
ノーズ上の高圧流が左右へ振り分けられる進路の決め手となりそうで結構重要ポイントかもしれない。
上下ウィッシュボーンはハの字の角度が強くなり、これはサスの性能よりも空力を重心した設計だ。
ただし後ろ側ロワアームの車体側取り付け位置が高いので、アンチダイブのジオメトリーがつけられているかもしれない。
そうならここは取り付け剛性よりもサスペンションの機能を優先した設計となる。
プッシュロッドはやや後斜し、低くなるノーズ上面のラインの下でサスのユニットを納めている。
モノコック下部のセパレーターの両脇にはボーダープレートを装着しており、
これでセパレーターの側面と上面の気流進路を明確に別ける意図が見える。
このアイテムは車体底面で発生するダウンフォース変動量の抑制に効果的だろう。
バージボードも下縁に、規定の範囲内で水平プレートを装着し、下方へ誘導する気流を細かく制御している。
コクピット前縁には、ウインドシールドが無いかもしれない。
筆者もウインドシールドの撤去を掲載した事がある(2004年 5月 1日(土)のスケッチ)。
サイドポッドを正面から観ると、左右が盛り上がった怒り肩で、これは前輪が巻き起こした乱流を整流する役割がある筈だ。
サイドポッド前側上縁は、複数のフィンを装着し、これで小さな渦を発生させ、サイドポッド上面のリフトを防止している。
フィンの代わりに横方向のベーンを渡すと干渉抵抗が発生する筈なので、フィンを使った方が空気抵抗は少ないかもしれないが、
リヤウイングへ向かう気流状態はベーンの方が良いかもしれない。
MP4-30ではサイドポッドの最大高をやや低める事でリヤウイングとの距離を取ってある。
サイドポッド両脇手前の縦のベーンは少しうねりがつけられ、ここも細かい空力開発の跡が見える。
サイドポッド後半へは急に撫で肩となり、内部冷却通路がタイトそうだが、ここで頑張ってもあまりゲインは得られないかもしれない。
何故ならそこにあるのはコークボトルの空間だけで、上面高圧流を受け止めるフェアリングフィン等が存在しないからだ。
しかし、来るところへは全て手をの姿勢はF1マシンとして評価するべきだろう。
サイドプロテクターの両端にはルーバーが無いが、気温の高いレースで登場するかもしれない。
インダクションポッドのインテークは仕切りで上下2分割された。
上側がエンジン、下側がオイルクーラーだろうか?
そのインテーク下側のセパレーターは、近年のマクラーレン車よりも前方へ寄せられ、
縦の板がある事でロープを通す穴を形成している。
筆者は過去にトヨタF1が自車を解析した画像資料を観た事があるが、縦の板は規定の変形量を守る為の補強の役目もあった。
このセパレーターの正面には穴が2つ見えるが、
もしこれがエアインテークなら、大きめの穴を1つの方が空気抵抗は減る筈だ。
昨年注目を集めた、空力利用のリヤサスペンションアームは継続されたかまだよく判る写真は入手できていない。
リヤウイングは中央にステーが無いので、昨年のウイリアムの様に規定内でビームウイングを形成している可能性がある。
MP4-30も、リヤウイング・フラップ後端の左右をカットしていないが、
これは翼端板に高圧を排出するスリットがある事で境界層が成長しないのかもしれない。
リヤウイングの間隙部分はマクラーレンが以前登場させたノコギリ状で、フラップを急に可動させても剥離が起こり難そうだ。
各所に細かい空力開発の跡が見え、コクピット周り等は一新された。
昨年ポテンシャルが高いと云えなかったシャーシサイドは現時点で見るべき物はある。
ドライバーはフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンのワールドチャンピオンコンビで実績があり、
鍵を握るのは今季から搭載する新しいホンダのパワーユニットだ。
何せ昨年の最初のテスト走行では5周程しか走れていないそうなのだから…。
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