2016年 2月21日、マクラーレンは2016年用マシン「MP4-31」を発表した。
「MP4-31」の写真は F1通信 等を参照。以下、概観から筆者の私見を記す。
尚、間隙フラップ効果を5枚全ての箇所で剥離しないギリギリのところで機能させていると、
走行中に路面に落ちているラバーを拾って間隙箇所に詰まった場合、その部分で剥離してしまうが、
そういった時の保険をかけて、多少のラバーが挟まっても剥離しない程度に設計してあると思う。
フロントウイングのスプリッターは左右3枚づつに見えるが、単に直線的で、気流進路の安定板の役割を持たせている様に思われる。
カスケードの形状は、外側へと後退しているのが特徴的だ。
気流は圧力の高い所から低い所へ流れるので、現在のMP4-31のカスケード上面の気流は、迎角の弱い外側へ向けて流れる。
これは前輪の外側へ気流を向ける目的だ。
ノーズ先端は少しリファインし、前進する盛り付け部分が加わった。
フロントウイングステーは後方へ向けて面積があり、気流進路を制御している。
これは規定下で左右を高いノーズとする為、ノーズ下面が立体形状となる事で乱れが起きて必要なのだろう。
ノーズホールは、おそらく横から見てS字の内部通路となっており、下面から上面へ気流を抜いている。
この事からこのノーズホールはSダクトと呼ばれる事もある。
ノーズ上面は傾斜しており、その後ろのフットボックス上面は流速が高まって負圧となる事で、
ノーズホールの気流が上へ抜ける。
MP4-31は傾斜したノーズ上面から水平なフットボックス上面とを、急なRで構成しているが、
これは前から見たプッシュロッドの角度を立てる為だ。空力よりサスの作動性を優先した設計となっている。
ブレーキダクトは空力部品をつけられるので、何やら細かい処理が施してある。
フロントホイールは新設計に見える。CFD等を駆使して、よりブレーキが発生した熱を放出できる形を追及したのだろう。
現在の規定ではホイールは開幕でホモロゲートされ、シーズン中にアップデートできないと記憶している。
サイドポッドの全高は規定で許されるリファレンスプレーン上方600mmよりも僅かに低い。
リヤビューミラーは昨年同様、高い位置にある。
サイドプロテクター上面は、昨年からレッドブルの様に気流を左右へ別けており、
ドラッグとリフトの発生を抑制し、好感が持てる理念だ。
コークボトルラインは幅狭く絞り込んであり、タイトなリヤエンドとしている。
これがマクラーレンとホンダが今回の開発理念としているサイズゼロのコンセプトの成果だ。
後輪手前のアンダーパネル両端には、流行のたくさんのスリットが切られている。
これはアンダーパネルの両側から車体下へ吸い込まれる気流の制御を狙っているのだと思われるが、
正直なところ、どう作用してどういう効果があるのか筆者はまだ解らない。
リヤサスペンションは上下のウィッシュボーンは高く、これは確実に空力性能の寄与を狙っている。
リヤウイングステーはスワンネックで、ウイング下面の流れを重視している。
このステーには、モンキーシートの取り付け用かと想像できる部分がある。
リヤウイング翼端板には、ウイング下面へ正圧のエネルギーを供給する、翼端板の外側から内側へ開けたスリットが4づつあるが、
このアイディアは筆者の方が5年ほど先に発案し本サイトで公開している。(twアイディアのページを参照)
上昇カーブさせたフィンも同様だ。(twアイディアのページを参照)
ウイングより上で翼端板に水平に切たれたスリットは2004年のトヨタのアイディアで、
ウイング上面の高圧流を外側へ排出し、翼端渦を軽減させる手法だ。
昨(2015)年を悲惨な成績で終えた現代のマクラーレン・ホンダだが、
ハンガロリンクでそこそこ良い走りを見せた時に、一部で言われているより車体は悪くないのではないだろうかと感じた。
今年も、パワーユニット次第。それが現実だろう。
ドライバーは引き続き、フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンのワールドチャンピオンコンビが勤める。
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