アルファタウリ AT01

text by tw (2020. 2.15土)

トロロッソがチーム名を変更し、「アルファタウリ」という名称となった。チームの中身は特に変更は無いと思われる。
パワーユニットも引き続きホンダを搭載する。
そしてアルファタウリの2020年用マシン、「AT01」が2月14日に発表された。

このマシンの中身については、昨年のレッドブルのパーツが流用されているという事だが、
そのままポン付けてしているのか、それとも多少手を加えて使用しているのかは不明。

新車「AT01」の写真は、F1通信 等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。



フロントウイングはトレンド通り、アウトウォッシュ。
ウイング下面のスプリッターは外側寄りに2枚装着している。

本家レッドブルはノーズ先端がエアインテークとなっているが、AT01はどうやら穴は見当たらない。

ノーズ側面には、おそらくSダクトにつながっていると思われる小さな吸入口があり、この辺りの境界層の成長を軽減している。
Sダクトのノーズホール排出口は、カウリングをレッドブルの様な間隙フラップとして、吸い出し効率を高めている。

フロントサスペンションのプッシュロッドのアップライト側取り付け位置は、キングピンからそれ程遠くへは離れていない様子で、
操舵時のライドハイト変化とロール操作は控えめの様だ。

ステアリングロッドはロワアームの高さに置かれている。

フットボックス下部からはアンダープレート前部を吊るす板がある。

サイドポッド本体は、随分と撫で肩となった。
これはサイドポッド側面へ多く気流を向かわせる事よりも、上面の後流を重視しているのかもしれない。
サイドポッド上面両端のラウンド形状は、基本的に昨年型を踏襲。



リヤサスペンションのウィッシュボーンもハの字マウントで、
サスペンションジオメトリーよりもディフューザーの空力効率を優先している。

どうやらリヤのアッパーアームはウイングステーに接続している模様だ。
リヤウイングステーにアッパーアームを接続するアイディアは筆者も考案していて本Webサイトに掲載している。

アンダープレート上面にはバルジがあり、そこへプルロッドが入り込んでいる。
これは、リヤサスのロッカーはステッププレーンよりも低い位置にある事を意味する。
プルロッドの車体側取り付け位置は、低い方がプルロッドの角度が立つので、サスの作動性が良好となる。

ウエイストゲートバルブの排気管はアッパーアームの下を通っており、幾分、重心高を低めている。

リヤウイングは3D形状に湾曲し、翼端渦を軽減するタイプが装着されているが、これは発表用と考えていい。

リヤウイングステーは少数派となった1本仕様。
しかし走行時の振動でリヤウイングが揺れてしまうのであれば、2本の方が空力的に有利という事にもなりかねないが、果たして…?

縦にカーブする翼端板は、ウイング下面の有効範囲を妨げる部分があり、先日発表されたマクラーレンMCL35の方が優れたデザインだ。

ディフューザーは、縦方向のエレメントと横方向のエレメントがスムーズに融合し、機能美が素晴らしい。
外側へカーブさせたスプリッターは間隙フラップ式となっており、気流を積極的に外側へ排出しようと努めている。

レギュレーションの都合から、ディフューザーの中央部は急激な角度で跳ね上げられる形となり、
急上昇で気流が剥離するので、12枚の細かなボルテックスジェネレーターを底面に装着している。
これは意図的に細かな渦流を発生させる事で、大きな気流の剥離を防止する工夫だ。

このチームには優れた空力デザイナーが居そうだと個人的に感じさせられる、ハイセンスなマシンに観える。
ただ、現時点ではガジェット類が少ない。
開幕までに細かな空力アップデートは必ずあるだろうから、綴るのは今回はここまで。

ドライバーは引き続きピエール・ガスリーとダニール・クビアトのペアだ。

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