筆者による2009年用F1マシン空力デザインスケッチ。
しかし筆者はこのスケッチを描きあげた直後にテクニカル レギュレーションの変更を知り、
このマシンデザインは2009年の規定に合致しないデザインとなってしまったが、
せっかく描きあげたものなので一応掲載しておく。
これは筆者の作成した、F1マシンデザイン・テンプレートをA4紙にプリントアウトして描いた。
緑や青の線はボディワーク規定の範囲線を示す。
ダウンフォースやリフトを発生するパーツは青、
気流を横方向へ誘導するパーツは紫、
翼端板の役割を果たすパーツはオレンジ、
サスペンションのピロボールは黄色 (ドライブシャフト含む)、
ブレーキダクトは茶色、
ドライバーの頭部を保護するプロテクターはピンク、
その他の部分は水色で着色した。
それでは、上下左右へスクロールしてご覧ください。
(空力デザインの説明文はこの図の下にあります。)
2009年の新規定では、フロントウイング区間より後方からリヤウイングまでの区間では、
ボディワークにフロントウイングの跳ね上げた気流を水平へと戻す翼状の空力パーツを着用できない様なので、
フロントウイング区間のノーズコーンに跳ね上げ制御翼(オレンジ色)を供えた。
これは2009年度マシンの必須デバイスとなる可能性が高いと思う。
フロントウイングの上段フラップも、メインフロントウイングがあまり気流を高く跳ね上げない様にする為に設置した。
フロントウイング下側の後部では、前輪の巻き起こす乱流を外側へ飛ばす為のスプリッターを備えた。
2009年からの規定ではフロントウイングが低く、且つ幅広くなったので、
フロントウイングはグランドエフェクト(地上効果)によりダウンフォースが必要量得られる事が期待できるので、
昨年までの様にノーズホール式とする必要は無くなった。
ゼロキール式の空力設計は、フロントと車体底面との両方のダウンフォース増加に寄与するが、
2009年からの新規定ではゼロキールとしなくてもフロントに十分なダウンフォースを得られる為、
今回の空力デザインではフロントサスの支持はV型キール式とした。
これにより車体底面へ供給する気流に若干の悪影響が発生するが、
それよりも筆者はメカニカルグリップと車体全体の運動性能の重視を選択した。
本来フォーミュラーカーは、前後ロール軸が前傾とするのが理想だが、
ゼロキールとするとフロントのロールセンターが異常に高くなってしまい、前後ロール軸が極端に後傾してしまう。
そこでV型キールとする事で、フロントのロールセンターと前後ロール軸を理想的な設計とできる。
モノコック側のタイロッドとプッシュロッド取り付け部分には、小さなカウルを着けて気流を乱さない様にした。
これは近年のルノーも同じ手法となっている。
モノコック下のダミープレートは、ウエイトを内包する為に厚くした。
サイドポッド上面は後傾し、その過程でサイドポッド上面の気流速度が低下してゆき、圧力が向上する。
この場合サイドポッド上面の気流は、気圧の低いサイドポッド側面へと吸い込まれてしまうので、
それを阻止する為にサイドポッド上面両端に丸いコブを設けた。
このコブはそれなりのサイズのRを持っているので、
ウイング禁止エリアであるこの区間でも空力部品と見なされないのではないかと今回筆者は解釈した。
サイドプロテクターは、気流を左右へ分ける形状として、上面でリフトを発生させない様にした。
リヤウイングのアッパーウイング後方の翼端板を切り欠いている理由は、
アッパーウイング下面の気流を切り欠き部分から外側へ排出し、ダウンフォース向上に寄与する為。
この切り欠き部分では、アッパーウイングが作り出す激しい翼端渦が外側へ向けて押し出されているので、
この為に見えない空間が生まれ、この切り欠き部分から外側へアッパーウイング下面の気流を排出する事が出来る。
リヤウイングのロワウイングは、規定で許されると思われる中央区間を後方へ高く延長し、
センター ディフューザー内からの気流吸い込みを促進させた。
尚、リヤ・クラッシャブル ストラクチャー バーの上面は三角断面として、
センター ディフューザーから排出される気流を、リヤ・クラッシャブル ストラクチャー バーの上側へ誘導させた。
これによりロワウイング中央部もウイングとして機能する。