今回新しいアイディアとして、フロントサスのピッチコントローラーの上にステアリングシャフトを通した。 これによりステアリングシャフトがモノコックと干渉しない様に、モノコック上面にバルジ(膨らみ)を設けた。
この手法のメリットは、規定内でフットボックス下面を最大まで高める事と、フットボックス上面を空力に特化したスムーズな形状とする事を両立できる。 デメリットは、フロントサスの作動性がやや低下する事だが、今回は空力を優先するアイディアでパッケージした。
油圧シリンダーは、フロント側の、モノコック下部のセパレーターへ内蔵したユニットと配管でリンクする。
この様に、油圧シリンダーを介してサスのユニットを別の場所にレイアウトする方法は、1995年にティレルがハイドロリンク・サスペンションを登場させて以降、筆者は度々用いる。 今回はリヤエンドにリヤサスユニットを配置できるスペースがなかった為、この様な配置となった。
排気管はギヤボックスケーシングの中を通過し、リヤにあるサスユニットと干渉しない様にデザインした。
こうした結果、リヤディフューザーの上面に高速の気流を大量に通過させる事が期待できる! リヤに作り出した空間を、画面右の後面図で確認して頂きたい。 フォーミュラーマシンで空力性能に最も寄与するのがアンダーパネルとディフューザーのエリアだ。
紫はピッチコントローラー/コンペンセーター。
中央のピッチコントローラーは、このユニットの構造上、左右のダンパーよりもストロークが長く取れる為、 コイルスプリングのプリロードにセッティングの幅が広がる。
そして、油圧シリンダーと直にリンクさせたアンチロールバーは、作動性が良さそうだ。