次のF1空力デザイン コンセプトのご提案 by tw

デザイン日: 2019年11月19日(火)
text by tw
Web掲載日: 2019年11月20日(水)

F1GPは2021年からボディワーク規定が新しくなり、サイドポッド底面がベンチュリー形状となる。
詳細な規定内容を筆者はまだ知らないが、それにあたり筆者も思うところがあり、今回いくつか提案してみる。

今回の案は具体的な規定の数値ではなく、空力コンセプト自体の方向性だ。
これまでとの比較が判る様に、2019年のボディワーク規定の線の上にスケッチした。

今回のポイントは、

(1) ノーズ先端はある程度高くして、車体底面への流量を確保する。
そしてフロントウイングは路面に近づけ、よりグランドエフェクトを増す。
これで、前車へ接近した際に、自車のダウンフォースが軽減される程度を改善できるかもしれない。



(2) 前車へより接近できる方法として、前輪内側下部のボルテックス ジェネレーターの復活を提案したい。
これは前輪の回転で巻き起こされる有害な乱流を、筒を半分に割った様な形状で受け止め、前輪の後部へ導く。
この「ボージェ」は車体底面により優良な気流を供給する事ができ、空力効率を大幅に向上させられる。

「ボージェ」は1990年中盤にフェラーリが初めて採用したと記憶している。翌1991年頃からF1マシンの必須デバイスとなった。
しかし1994年のイモラの事故の後に、ダウンフォースを削減する目的で禁止されたが、
すると各車の車体底面は、前輪が巻き起こす乱流の影響をモロに受け、サイドディフレクターかボーダーウイングを着用しないと、まともに走れなくなってしまった。
(当時、ティレルの片山右京選手がその旨コメントしていたと記憶している。)
という事は、前車が巻き起こす乱流内に自車が居る際に、ボージェがあった方が、より車体底面の気流の質が改善できるのではないだろうか。

(3) 頭部保護デバイスは、現行のヘイローと新規のウインドスクリーンを併用した。
ウインドスクリーンを採用する事で、ハンガリーGP予選のマッサの事故を回避できる。
(ヘイローだけでは、小さい部品が飛んで来た時の防御ができない。)
これまでF1で試作されたウインドスクリーンは視界に大きな問題があり、ドライバーが酔ってしまう様だが、
軍の戦闘機ではずっと昔から採用されている訳だから、開発を進めれば問題を解決できるのではないだろうか?

(4) サイドポッド底面のベンチュリー形状は、文面でどう規定するか難しい問題かもしれない。
後部の跳ね上げ量がアグレッシブ過ぎると、V型エンジンの排気管や補器類と干渉してしまう。
だが現在のF1はロングホイールベースなので、ベンチュリー形状とのパッケージはし易いかもしれない。

ベンチュリー形状を規定する際に頭を悩まされるのが後部の形状に関する項目だと思う。
おそらく実際の設計は、車体外側から順に、後輪、コークボトル流、ベンチュリー流、ラジエーター流、ギヤボックス、となると思う。
図の様に、ギヤボックス底面はあまり跳ね上げず、側面を後部で合流させるといいかもしれない。

ところで現行のシングル ターボの中央排気だと、リヤサスペンションをプッシュロッド形式にするのが困難であると昨日、気付いた。

[ Site TOP ]  [ twアイディア ]