「全方位ジャイロ 機械式KERS」

idea & design & illustration & text by tw  (2008. 8.19火)



F1GPでは来季(2009年)から、車輌規定にKERSが導入される。
KERSの名は、「 Kinetic Energy-Recovery System 」の略である。

KERSとは、ブレーキング時の制動エネルギーを車体に吸収し、
コーナー脱出後のストレート加速時に、制動時に吸収したエネルギーで加速力をアップさせるシステムである。

尚、今回のFIAの規定では、後輪(駆動輪)からのみのエネルギーの吸収が許可されている。
各チームは来季へ向けてKERSを電気式にするか機械式にするか検討したが、
BMWザウバー等の多くのチームは電気式を選択し、ウイリアムズは機械式を選択した様である。

機械式KERSの開発テーマの一つとして、
設計・搭載位置を工夫し、車体重心高を低く抑える様にしなければならない点がある。
筆者も設計・搭載方法を思案してみたが、なかなか重心を低く抑える事が難しい。
そこで、一旦重心高は無視し、電気式KERSには無い、機械式KERSならではのメリットがないかと思案してみた。

そして2008年8月04日に発案したのが、上図の全方位ジャイロKERSである。

ジャイロとは、回転するコマが自立する事象で、コマが遠心力に拠って安定して自立する現象である。
そこで、ブレーキング時に、ジャイロに回転運動エネルギーを蓄え、
ジャイロ効果でコーナリング時の車体姿勢制御と安定性に少しでもアドバンテージを得られないかと発案した。

筆者が今回発案したジャイロKERSでは、6つのジャイロを使用しており、
XYZ全ての方位と、そしてその逆回転も行っており、車体への悪作用を全て打ち消した。

しかし上図の設計のままでは機構が大きく、空力性能がかなり悪化してしまう為、
ラップタイムは悪くなってしまうだろう。その為、今回のイラストはあくまで機構の概念図である。
だが、開発によって小型化を進め、空力面や重心高の問題をクリヤ出来れば、
今後ラップタイム短縮に寄与する可能性はあると思われる。

(このページのここまでの最終更新日:2008/ 8/19


「全方位ジャイロ 機械式KERSの、作用原理と制御法について」 text by tw 2008/ 8/20

まずは「ジャイロ」の作用について。
子供が遊ぶ「コマ」は、回転していると遠心力で自立して立っている。回転していないと立っていられない。
これはコマの重量が、遠心力(ジャイロ効果)で安定して立っている事の証明となる。

筆者は、このジャイロ作用を、車体に応用する事を思い出した。
(過去に「ダッシュ!四駆朗」という漫画で、ジャイロを搭載したマシンが登場していた。)

全方位ジャイロ機械式KERSの作動制御法は、
車体内に、回転する重り(ジャイロ)を備えておいて、
ブレーキング時にクラッチで重りとミッションのギアを接続して、その重りを回転させる。
つまり車体は走行しているので、重りはタイヤから回転させられる。
そうすると重りはジャイロ効果を発揮して、車体の姿勢が安定する。

上図のアイデアで、ジャイロを6つ搭載している理由は、
もし、ジャイロが一つだと、
一例として、車体内でジャイロが高速で右回転している時には、
ジャイロが車体を左回りに動かそうという力が車体へ作用する事が考えられる為である。
その為、右回りと左回りと2つのジャイロを搭載すれば車体へのその作用は無くなる。

そして、正面視、上面視、側面視、と、全ての回転方向のジャイロを設ける事によって、
ジャイロの回転時には、車体が全方位で安定する。これがジャイロを6つ付けてある理由である。



「機械式KERSの作用原理と制御法について」

KERSの名は、「 Kinetic Energy-Recovery System 」の略である。
KERSとは、ブレーキング時の制動エネルギーを車体に蓄え、
コーナー脱出後のストレート加速時に、制動時に蓄えておいたエネルギーを使い加速力をアップさせるシステムである。

機械式KERSの制御方法は、
通常の走行時には、KERSとトランスミッションを繋ぐクラッチは解除しておく。
そしてブレーキング時に、このクラッチを接続し、
車体が走行しているエネルギーを利用して、KERSの重り(フライホイール)を回転させる。
これにより、車体の減速エネルギーは、KERSの重り(フライホイール)を回転させるエネルギーへと変わる。

そしてコーナーを抜け、ストレート区間に入った時に、ドライバーはKERSの作動ボタンを押す。
するとKERSとトランスミッションを繋ぐクラッチが接続され、
KERSの重り(フライホイール)の回転エネルギーが、車体の加速力に加わり、加速力がアップする仕組みである。


機械式KERSにCVTを搭載している理由は、
KERSのフライホイール回転速度と、車体のトランスミッション回転速度を一致させる為である。

CVT(Continuously Variable Transmission)とは、「変速比 無段 連続可変トランスミッション」である。

(以下、Wikipediaから参照。)
トロイダルCVTは、歯車を用いず、摩擦によって変速比を連続的に可変させる動力伝達機構であり、
日産のエクストロイドCVTとして知られている。
過去に日本精工がローラーと軸受けの開発に成功し、
そして出光興産が、高圧下でのせん断力と潤滑・冷却力を兼ね備えた専用オイルの開発に成功し、
1999年に日産自動車が世界初のトロイダル式変速機を持つ市販車として、
Y34型セドリック、グロリア、V35型スカイラインGT-8に搭載された。

(このページの最終更新日:2008/ 8/20
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