「リヤ衝撃吸収構造を補強する中央骨のアイデア」

アイデア&デザイン by tw  (スケッチ日:2009.11.10火 / Web公開日:2009.11.10火)

今年の10月18日に掲載した筆者がデザインしたマシンのリヤエンドのアイデアについてあらためて詳しく。

今(2009)年のテクニカル・レギュレーション下で空力デザイナーが頭を悩まされた部分の一つは、
リヤの衝撃吸収構造とロワ・ウイングを如何にデザインを施してその後流を効率の良い状態と出来るかであった。

その理由は、リヤウイング全体が気流を上方へ跳ね上げているのに対し、
リヤの衝撃吸収構造は、多くの場合、上面は水平の構造となっているからだ。

これでは左図のマシンのスケッチで示す様に、リヤエンドの車体中央部の後流は、
リヤウイングが跳ね上げる気流から見れば矛盾した構造となっている。




そんな中、今(2009)年のレッドブルは、リヤの衝撃吸収構造を、左図のマシンの様にデザインを施した。
(注:このマシンのデザインは筆者のオリジナルの物で、レッドブルではない。)

他チームのロワウイングはリヤの衝撃吸収構造から左右へ生えているのに対し、
レッドブルはリヤ衝撃吸収構造をロワウイングの下側に「潜らせた」。
ロワウイングは、中央部の支柱で衝撃吸収構造の上面と接続してある。

赤い矢印で示す気流推察線がポイントで、これでリヤウイング全体と見事にパッケージされている。


しかし、よくこんな上下にカーブした構造で、後方クラッシュテストにパス出来たものだと驚かされる。
普通に設計すれば後方衝突時に屈折して折れてしまうであろうから、
恐らくカーボンの積層設計はかなりの工夫が凝らされている事が想像できる。



さて、ようやく本件の筆者のアイデアだが、レッドブルと筆者のデザインしたマシンでは大きく異なる点がある。

それは、レッドブルのロワウイングの支柱はロワウイングよりも後方へは伸ばしていないが、(ただし前方へは延長してあり、アッパーアームの後ろ側アームを接続する構造となっている。)

そこで筆者は思いついた。上図の様に、ロワウイングの支柱全体を後方へも上方へも伸ばし、
ギヤボックス上面からテールライト上面まで続く、「細い中央骨」を設けるのだ。
更に中央部のリヤウイング・ステーも一体化する。

これで後方衝突時に、衝撃吸収構造が少しでも折れ難い様に強度を向上させる事が出来る。



(このページの最終更新日:2009.11.11水
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