「F1 テクニカル・レギュレーション提案」by tw  (このページの最新更新日: 2009.5.23土)



筆者による今回の規定案の重要ポイントは以下の通りである。

・前輪の最大幅を、現行の 335mm から 280mm へと削減する事で、
 大量のウエイトを車体前側に搭載する現状の異様な車輌設計を改善し、
 ドライバーの体重の有利不利を解消する。

 尚、レース中の給油禁止により、
 レース序盤での車輌重量が非常に大きくなる事から、
 レース序盤でのクラッシュ時の安全性を考慮し、
 ウエイトや燃料の搭載量を現状よりも軽減しなければならない。

各コンポーネントの最大重量は、

   車輌: 450 kg (エンジンとカメラ含む。空タンク時)
   燃料: 150 kg (フルタンク時)
ドライバー:  75 kg
 ウエイト:  15 kg (車輌前後重心位置をセッティングする)

合計: 690 kg 以下(フルタンク時)を目標とする。


・モノコック先端の高さを 230mm以内 と規制する事で、
 現行F1マシン主流のフロントサス設計(=異常なサスペンション・ジオメトリー)を抑制し、
 マトモなビーグル・ダイナミクスへの返還を促進し、
 且つ、ドライバーの脚の高さも低めて、これまでの脚の高い姿勢の辛さを軽減する。

・1998年から義務付けられているロールフープ上の不恰好なオンボードカメラを廃止し、カメラ映像をドライバー目線に近づける。

・2重構造リヤ・ディフュザー禁止による、空力開発範囲の抑制。(=開発費の削減)

・「マシン後流の跳ね上げ抑制リヤウイング下段」を義務付けする事で後続車へ気流を供給し、コース上での追い抜きの促進を計る。



レギュレーション改定案。

「技術規定のコンセプト」
・開発費 軽減及び、製造コスト削減。
・地球環境への配慮及び、地球資源の消費への配慮。



「ペナルティ」

交換が禁止されているパーツを交換した場合、そのドライバーはスターティング・グリッドを20台分降格される。

1GP中に2回交換した場合は、次のGPでもグリッドを20台分降格される。
これは3回でも4回でも同じ様に続けられる。ただしシーズンが終了すれば残存ペルナティは解除される。

シーズン途中でドライバーが交代された場合、前ドライバーが使用していたパーツ及びペナルティを引き受け継がなければならない。



「エンジン規定」

FIAからチームへ供給される、「時間あたりの燃料流量・制限バルブ」の装着を義務付ける事で、
エンジン開発のテーマを「熱効率の追求」(=地球資源・環境を考慮する)へと促す。
尚、「燃料噴射装置」と「燃料流量制限バルブ」との間には、配管以外のいかなる装置も備えてはならない。

毎年、前年度の各エンジン出力の状況から次年度の燃料流量を見直し、
FIAが「燃料流量制限バルブ」の設定を行う事で、
開幕戦の時点でのエンジン最高出力を 500〜700ps以内 を目安に抑える。
尚、KERSによる出力は、エンジンの最高出力には含まれない。

エンジン形式は、排気量、圧縮比、気筒数、バンク角、自然吸入、ターボ過給、ディーゼル、ロータリー、と、全て自由。

使用できるエンジン数は、ドライバー1人あたり5GPに1機まで。(=製造コスト削減)
「エンジン」の定義は、エンジンの全ての部品(補機類も)が含まれ、5GP間にはいかなる部分も交換できない。
5GP以内に交換した場合にはペナルティを課せられる。

* この規定により、F1のエンジンは他カテゴリーでも使用可能となる。



「ギヤボックス数の制限」

使用できるギヤボックス数は、ドライバー1人あたり年間1つまで。(=製造コスト削減)
ギヤボックスの定義は、(ギヤレシオ変更の際に必要なギヤ以外) の全ての部品が含まれ、1シーズン間いかなる部分も交換できない。
ギヤレシオ変更の際に必要なギヤの交換(7枚x2のセット)は、いつでも何度でも許可される。



「タイヤの制限」

1人のドライバーが使用できるタイヤは、1GPあたり、ドライ 1セット+レイン 1セット。
タイヤ供給社は、1人のドライバーが1GP全てのセッションを不具合無く走行できる設計のタイヤを供給しなければならない。
鋭利な物を踏んでパンクした場合であっても、交換した場合はペナルティが下される。

前輪の最大幅は、現行(2009年)の 355mm から 280mm へ。(=無意味な前方バラスト搭載の廃止)

タイヤ及びホイール・ウォーマーは使用禁止。(=経費削減)



「ブレーキの制限」

ディスク及びパッドの交換は5GPに1回以内。消耗により交換した場合でもペナルティが下される。

ディスク及びパッドの素材は、スチール製に限定する。(=コスト削減 & 特殊なブレーキ踏力調節技術の必要性の排除)
ブレーキのパワーアシストを許可する。(=ドライバーの過度なトレーニングの必要性を排除)
車体側でのブレーキ制御は、「ABS」や「左右,前後,自動分力制御」は禁止。(=開発費の上昇を阻止)
走行中にドライバーの操作による前後バランス変更はいつでも何度でも許可される。



「KERSの規定」

前輪にも発電機を備える事を許可する。発電機の設置場所は、ホイール内でもモノコック前部でも構わない。
ただしKERSの出力(駆動輪)は、後輪のみとする。
後輪(駆動輪)をホイール・イン・モーターとする事は許可するが、左右の後輪へ異なる出力を供給する制御は禁止する。
後輪への出力は、ファイナル・ドライブを経由しなければならない。

KERSの出力は、1周につき何度でも行え、且つ、何秒間でも許可される。



「空力の制限」

ボディワークは、(フロントウイング・フラップ以外は) 可動してはならない。
フロントウイング・フラップの可動は、1周につき2回だけ行える。
その1度目の操作は、角度上昇しか行えない。2度目の操作は角度減少しか行えない。


「ボディワーク変更回数の制限」

(リヤウイングを除いて、) ボディワークの変更は5GPに1回以内。性能向上の為に交換した場合にはペナルティが下される。
クラッシュ時にボディワークが破損した場合には、あらかじめ用意されていた同じ形状の予備パーツへ交換できる。
ただし、ブレーキダクトの開口面積の変更と、マシンの全ての排熱に関する部品は、いつでも何度でも変更・交換できる。



「コース上での追い抜きを促進するリヤ・ウイング下段形状の義務付け」

目的: テールトゥノーズとなった際でも、後続車の空力ダウンフォース量を確保し、コース上での追い抜き促進を計る。
手段: リヤウイングの形状を規制し、後続車への意図的な気流の供給を行う。

[上のエリア]

後輪中心線よりも後方へ 150mm から 500mm の区間で、
リファレンスプレーンから上方へ 750mm から 900mm の区間で、
車体中心線から左右へ 75mm から 430mm までの区間のあらゆるボディワークは、
車体を横から見た時に、いかなる縦の閉鎖的断面も1つ以内でなければならない。

[下のエリア]

後輪中心線よりも後方へ 150mm から 500mm の区間で、
リファレンスプレーンから上方へ 250mm から 300mm の区間で、
車体中心線から左右へ 75mm から 430mm までの区間のあらゆるボディワークは、
車体を横から見た時に、いかなる縦の閉鎖的断面も1つ以内でなければならない。

そして、「下のエリア」は、次の要素を満たしていなければならない。

後輪中心線より後方へ 150mm から 590mm の区間で、
車体中心線から左右へ 75mm から 430mm までの区間には、
必ずボディワークが存在していなければならない。


そのボディワークは、底面はフラット(公差±5mm 以内)に成型されていなければならない。ただし、
前端では 半径25mm 以内のRをつける事を許可し、そして
後端では 半径2.5mm 以内のRをつける事を許可する。
底面の両端のRは、前端から後端までが直線的なレートで縮小される形状を許可するが、
その範囲を超えるRがつけられてはならない。

更にそのボディワークは、厚みの最少断面寸法を以下の様に義務付ける。
車体中心線から左右へ 75mm から 430mm までを連続して、
そのボディワークの底面に対して垂直に 50mm 以上となっている部分を、
後輪中心線の後方へ 150mm から 600mm までの区間のどこかで持っていなければならない。


以上。( text & illustration by tw )  F1レギュレーション案へ戻る



下の画像は、筆者による上記ボディワーク規定でのマシン・デザインを行う際に使用可能なファイル。
(GIFファイルで、1ドットあたり5mmで作製してあります。)
プリントアウトしてデザイン・スケッチを行う為に用意しました。 マシン・デザイン例はこちらです



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