思い起こせば、昔、ハイノーズ以前のF1マシンでは、フロントサスペンションのロワアームは、モノコックを貫通し、モノコック内部でバルクヘッドに取り付けられていた。
これはストローク時のキャンバー変化を理想値とする為だ。
アッパーアームよりもロワアームを長くする事で、ストローク時に両者が描く回転半径に差が生じ、対地キャンバーを最適可できる。
そこで今回、ゼロキールから更に進めて、センターキールをモノコックに内包する手法を発案した。
これで、規定で許されているモノコック内のサスペンションユニットを収める空間に、ロワアームを入れ込むのだ。
これは、昨年頃からメルセデスが採用している、前後に短いスパンのロワアームがヒントとなった。
今回の筆者の案は、メルセデスの物よりも更にアームの剛性が低下するが、自由にロワアームを前傾させ、アンチダイブ・ジオメトリーを設定でき(このスケッチでは少々大げさに角度をつけた。)、ロワアームの長さに自由度が持たされ、対地キャンバー変化を理想値とする事ができる。
ただしフロントロールセンターはどうしても高くなってしまうが、それでも現在の多くのF1マシンと比べれば大差は無い。 |