ウイリアムズ FW27   text by tw (2005/ 1/31 〜)


2005年用「FW27」は1月31日に発表された。

フロントウイングは、中央部が下方へ大きく湾曲させて低くしたタイプ。
フラップは非常に大きい。
左右のウイング下面にはスプリッターがある。 ウイング両端は上へ曲げてある。これは翼端渦の対処の為。

フロントウイングの翼端板は縦方向にややカーブしており、下端にはトンネルがあるタイプ。
サイドフィンは跳ね上げ角度が浅め。

ノーズ位置は高く、先の方だけ下面がスラント状となっている模様。
ノーズ先端はウイングより少しだけ前の位置で、細く、丸みがつけられ、ウイングステーが長い。

フロントサスはシングルキール式へ戻った模様。



昨(2004)年の日本GPから投入した空力コンセプトを引き続き採用しており、
ボーダウイングは撤去し、
代わりにサイドポッド両側の前端から前へ斧型プレートを突き出し、
前輪内側のディフレクターと連係して車体下への気流を制御している。


サイドポッドの最大高は低く、いきなり上面を低め始めている。
コクピットサイドの幅を広げてからラジエーター・インテークがある。
側面はトレンド通りに下部を斜めに絞込むタイプだが、縦の角度の付け方は多少独特。


ラジエーターチムニーは排出口が大きく、横へ向けて出すタイプ。
コークボトルはリヤがとても狭くなるまで絞り込んである。
チムニーでラジエーターの熱気を排出した分、コークボトルを絞り込む事ができる。

コークボトルを絞り込みたいのは、
絞り込んで出来た低圧の空間へサイドポッド側面の気流を吸い込ませる事で、
サイドポッドの横側から車体下へ入り込んでしまう空気を減少させて、
車体下面でのダウンフォース発生を妨げさせない為。


フェアリングフィンは最小限の前後長といった感じの控えめなデザイン。
後輪横のフェンスも無く、
リヤのフォワードウイングはリヤウウイングの翼端板を前方に延ばして支持している。



後輪手前下部のフロアは、まだよく確認できる写真を入手できていないが、
小さな跳ね上げらしき物があるかもしれない。

サイドディフューザーの上には三角形の大きなガーニーらしき物が見える。
後輪が気流を押し込む受け皿部分も、少し跳ね上げる角度をつけて、サイドディフューザーの幅を得ている。
これは少しでも車体下の気流を吸い出してダウンフォースを発生させる為。
近年ウイリアムズはこの様に跳ね上げている事がある。

センターディフューザーの側面フェンスは特に湾曲させてはいない。



サイドプロテクターとエンジンカウルとの溝はある。その後に合流する頂点は平らではない。

ロープを通す穴はマクラーレン式になった。

ミッドウイングは上下2段式となった。



リヤウイングの翼端板は、アッパーウイング上側の高圧を排出するスリットが左右2つづつ開いている。
アッパーウイングの後ろで一旦切り欠いた翼端板は、その後でまた高く戻す形状となった。

それより後ろで翼端板全体に縦に開けたスリットは、
昨年からウイリアムズは外側から内側へ気流を入れるタイプとしている。



ウイリアムズのデザインは、全体的にまだまだ造りが四角っぽい印象を受ける。
全体的にまあ一応そつなく造ってあるとは思うが、煮詰め度合いは弱そうに思う。
とりあえず現段階では空力効率は一番ではないと思う。
ただし、空力性能は走ってみるまでは判らないので、イコール遅いとはならない。

(ここまでの最終更新日:2005/ 1/31


[Rd.1 オーストラリアGP (メルボルン市街地)  3月 4日(金曜)の写真から]

フロントウイングは数年前の様に、サイドフィンと翼端板との接続部分にスリットを空ける手法と、翼端板の内側の三角フィンを再び用いた。
フロアプレートの後輪手前部分は、上方へ小さな折り返しが見える。
サイドディフューザー上側のは大きめの三角形のガーニーが付けられている。
冬のテストで登場させたリヤウイングの中央部分の幅150mmのシャドーフラップを装着している。



[Rd.1 オーストラリアGP (メルボルン市街地)  3月 6日(日曜)の写真から]

3位グリッドのウェーバーは、スタート後の1コーナー進入時にレッドブル(クルサード)にインを差され、4位に後退。5位でチェッカーを受けた。
7位グリッドのハイドフェルトは、42周目の第3コーナーでフェラーリ(M.シューマッハ)と交錯し、リタイヤとなった。

エンジンエアインテークは、開口部が他車よりも小さいが、吸気にこれで足りているのだろうか?
サイドポッド両端から前方へ突き出す形の斧型プレートは、昨年の日本GPから導入したが、その時よりも斧型プレートを前方へ延ばしてある模様。



[Rd.3 バーレーンGP 4月 1日(金曜)の写真から]

引き続きサイドディフレクターを使用。

リヤウイング翼端板のアッパーウイング取り付け部分は、今年のトヨタを真似した形状となっている。
翼端板と後輪との隙間は狭いので、この辺りとその後流について考えた新しいアプローチかと思われる。

テールライト上方の幅150mmウイングのステー部分には、温度センサーらしき物が貼り付けてある。
エンジンの排気ガスがここへ到達した時の温度を実測する為と思われる。



Rd.6 モナコGPの写真から

フロントウイング翼端板の内側上部に小さなフラップを装着している。
サイドディフレクターの下面プレートは、車体下への流れを制御する為に、部分的に面積を増した。
最近インダクションカウルの後ろ側にはエア排出口が開いている。
リヤウイング手前のフォワードウイングを再度装着。
リヤウイングのガーニーフラップは大きい。

(ここまでの最終更新日:2005/ 5/29



(撮影された時期は不明) ウイリアムズFW27の写真から (5/31更新)

5月26日発売の「AUTO SPORT」誌で、FW27がノーズコーンを外した状態の写真が掲載されており、少しだけモノコック内部の様子を窺えた。

その写真を元に、筆者が推察したフロントサスユニットの大まかなレイアウトを示す。(右図)

横置きのピッチ制御ダンパーらしき物が観え、それはフロントダンパーの前側で、ステアリングシャフトの下側に配置されている。
これがダンパーだとすると、これはバンプ時にプル・ストロークで作動する。

このレイアウトのメリットは、
1.プッシュロッドの角度を立てられ、サスの作動性が向上する。
2.ピッチ制御ダンパーのストロークを、ロッカーで拡大する設計と出来る。
3.車体の重心高を低下させられる可能性。

デメリットは、
1.ピッチ制御ダンパーにスプリングを(凝った方法でないと)装着できない。(FW27の写真でもスプリングは見当たらなかった。)
2.ロッカーの重量が増す。
2005年ウイリアムズのフロント・サス・ユニットの推察図

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