「ダブルDRS・Fダクト」 text & illustration by tw (2012. 4.30月)



 DRSオフの状態。
 フラップ両端の縦板が、
 翼端板の穴を塞いでいる。
(詳細な写真が入手できていない為、今回のスケッチは筆者の想像図。)

今(2012年)シーズン開幕戦、メルボルンのフリー走行で、
メルセデスのM.シューマッハがコースアウトした後、
マシンから外れたフロントウィングのフラップ下面にある、「2本の細い切り込み」が撮影された。
これは事実上、メルセデスのフロントウイングにFダクト機能がある事を示す。

更にメルセデスはリヤウイングのDRS作動時に、
普段はフラップ端の縦板がフタをして隠している翼端板の内側に「穴」がある事が写真で判明した。
翼端板は中空構造となっており、「穴」は翼端板の内側だけに開いている。

これらの事から、メルセデス「MGP W03」は、
リヤウイングのDRSとフロントウイングのFダクトが連動して機能する、
可変空力システム「ダブルDRS」を実戦投入している事がほぼ明らかとなった。





 DRSオンの状態。
 中空の翼端板内へ空気が流れ込む。
それではダブルDRSの作動システムを推察する。
まず「フロントウイングのフラップ下面に切られたスリット」と、
「リヤウイング翼端板・内側の穴」は、車体内部の長い配管で繋がっている筈だ。

気流の状態は、「穴」のあるリヤウイング上面は高圧で、
一方でフロントウイング下面は非常に強い低圧域となっているので、
DRSがオンとなってフタが開き、長い配管の通路が開放された時、
空気はリヤウイング翼端板内側の穴からフロントウイング下面のスリットへ流れる。

これによりダブルDRSがオンの時、フロントウイングはFダクト作用でストール状態となる。

この空力効果については、開幕前の「メルセデスMGP W03分析考察」ページにて記述済みだ。



(このページの最新更新日:2012. 4.30月
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