F1のサスペンション機構についてメモ。 text by tw (2021/ 8/31火〜 2022/ 2/28月)
1998年、マクラーレンがバンプ時だけバネが柔らかくなる機構。
要はサスのバネは、一番速い高速コーナーで空力ダウンフォースと車重を支えられるバネでなければならないが、
コーナーでイン側の縁石にタイヤが乗り上げた際や、ストレート走行中に、バンプで彼等のバネが柔らかくストロークしていた(!)。
何らかのアイディアを積み込んでいたのは明らかであった。
筆者は数年間思考して、それが実現可能なシステムを本Webサイトヘ記載したが、マクラーレンのはもっと違う何かだと思った。
1998年、アロウズがダブル ロッカー式のリンク機構を実戦投入。
上の筆者のスケッチはリヤサス上面で概念図。(フロント サスは観た記憶が無い。) 大体こうでしたよ、という絵。
(ちなみに、CGで左右反転コピー&ペースト は したが、紙へ定規は使っていない。手描き。)
1つ目のロッカーは、ダンパーとリンクし、セカンド ロッカーへも接続する。
2つ目のロッカーに縦置きのトーション バー スプリングを仕込でいて、重量物であるバネを車体前方へと移動できたが、
これで車体の慣性モーメントが軽減されていたかは謎で、もう1つづつのロッカーとロッドの分の質量は増すデメリットがある。
プッシュ ロッドからバネとダンパーへのレバー比を自由にできるという要素は便利そうなアイテム。
セカンド ロッカーを交換するだけで、バネレートを変更できたかもしれない。
ただしリンクの数が増すので、動きのリニア性には、やや欠ける。
ロッカーを観ると、几帳面に全てのリンクがほぼ90度に設計してあった。
このマシンは、F1で初めてジョン バーナードが研究したカーボン ギヤボックス ケーシングが採用されていた。
2005年末にBARがカーボン ギヤボックス ケーシングで成功しF1で表彰されていたかもしれないが、
実際はバーナードの方が 7年も前に モノにしていて、しかし各方面から無視されている理由は何なのだろう??
1998年のアロウズはトラブルが頻発していたが、ケーシングの問題ではなく、トランスミッションの不具合が本当の問題であった様だ。
このクルマはコーナーの立ち上がり、トラクションが良かった記憶がある。
天才ジョン バーナード。私は個人的に、クルマの構造と材質に関して彼に敵う人はいなかったと思う。
2000年、ザウバーがノーズ下をツイン キール化してフロント ロワアームを接続。
左右のキールの中央に、比較的キレイな空気が通る。それは車体底面へ流れ込む、重要なエアフローだ。
キールよりも、フロントのロワ アームの存在自体が空力的に害悪なのが明らかになってきていた時代。
センターキールは空力的にそんなに邪魔ではなくて、ロワ アームが邪魔だった。
時代はサスを捨てて空力を取る方へシフトした。
上図のザウバーのは、ストロークによるキャンバー変化量は、これで良いのか疑問だったが、
(本来はもっと、ロワ アームを長く、アッパー アームを短くしたい。)
そんなジオメトリーよりも、ロワ アーム体積を少しでも撤去した方が空力的に、車体性能に寄与するのだった。
[ 次回へ続く ]
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