トロロッソ STR6   text by tw (2010. 2. 2水)

2011年 2月01日、トロロッソの2011年用マシン、「STR6」が公開された。
今年もフェラーリ・エンジンを搭載し、KERSシステムもフェラーリが採用する物と同一仕様の供給を受ける様だ。
トロロッソ・チームの規模からしてKERSを扱うのは負担が大きそうだが、
規定でテスト走行が制限されている現状、フェラーリ側がKERSの開発テストデータを更に採れると云う意向の要素が強いのかもしれない。

それでも何とかトロロッソがKERSを使いこなせたならば、レースの決め手となるスタートダッシュ、
コース上での追い抜きおよびディフェンスにおいて、強力な武器となる事は間違いないだろう。

それでは、新車「STR6」の写真は、ESPN F1 ニュース速報 Live 等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。



マシンの全体像は昨年とあまり代わり映えしていない様だ。ノーズ先端の高さは、今では低めの部類となってしまった。
ノーズコーン側面には、レッドブル同様のガーニーが装着されているが、
カメラの装着位置は、レッドブルの場合はノーズ先端に在るのに対し、トロロッソはノーズ側面に在る。
あの部分にカメラを装着するなら、あのガーニーは必要が無い様に思うのだが…。



フットボックス上面両端をコブ状に盛り上げてモノコックの断面積を稼ぎ、そこで稼いだ分で、フットボックス下面両端を削り取り、
ノーズ下面からフットボックス下面へ丸みをおびた形状とする手法は2009年にレッドブルが登場させた。
これはコーナリング時の空力挙動の安定性向上や、フロントサスのロワ前側アームを長くできるメリットがあるが、視界に問題がある。

昨年のトロロッソのその隆起は、上端がコブと云うより鋭利な形状であったが、
今季からの規定改定の影響か、それとも本家レッドブルの空力データの影響か、鋭利な隆起の高さは控えめにされた。

コクピット側面の最低高の規定は、リファレンスプレーンの上方へ 550mm だが、
今季の新規定により、コクピット前方の最大高は、550mm の位置から上方へ 120mm以下、
つまり、リファレンスプレーンの上方 670mm以内 とされた。

 2011年テクニカル・レギュレーション 第15条 2項 3:
 「第2の構造の最高点は、基準面から上方 670mm を超えてはならず、第17条 3項で説明される静的荷重テストに合格しなくてはならない。」

(この規定は、2013年に更に低くされる予定らしい。)



前輪のブレーキ・キャリパーは下側へ配置し、重心高を下げている。

前から見ると、サイドポッド上面は、両端へ高くされた。
しかし、サイドポッド手前両端の縦のベーンは、規定内の最大高 600mm よりも低く、空力デザインの追及性に疑問が残る。

インダクションポッドのカウルは、レッドブルと違い、シャークフィンとされてはいない。

筆者には、後は特に綴るポイントはあまりなさそうだ。
今季のトロロッソの課題は、コンストラクターとしての自立度を高める事だと思う。

(このページのここまでの最終更新日:2011. 2. 2水

2011. 2. 3(木) 追加更新

新しく入手した写真から、今回のSTR6のサイドポッドのアンダーカットは、サイドポッド最後部まで続いている事が明らかとなった。
こういった形状は、サイドポッド側面下部を狭く絞り込んだ2003年のフェラーリを見て、全チームが風洞等で試し済みかと思うが、
実戦投入は今回のトロロッソが始めてとなる。(筆者に記憶忘れがなければ。)

筆者もこれは2003年スペインGP以降からの常套手法で、本サイトで確認できるものでも、
2005. 9.12掲載デザインや、2006. 9.16土掲載デザイン(後図でよく判る)で記録に残っている。

サイド・ディフレクターと、サイドポッド両端手前の縦のベーンさえ、しっかり空力設計してあれば、
アンダーカットは最後部まで続いた方が、気流進路の安定性が良いかもしれないと思う。

(このページの最新更新日:2011. 2. 3木

Site TOP ミナルディ トロ ロッソ