近年のF1マシンの多くは、フロントウイング中央部が跳ね上げた気流が、ノーズ下面へとぶつかっているが、
果たしてあの様なデザインで空気はスムーズに流れているのだろうか?
筆者は以前から、もっとスムーズに抵抗少なく流す形状とした方が良いのではと考えている。
これについて昔から考えているデザインの一例と、最近新しく思いついたアイデアを記す。
(上図:ノーズコーンの断面を後ろ側から見た図。)
まずノーズコーン下面の形状をV字にして、ここで気流を左右へ別ける。
この断面の前後位置は、ノーズコーンの後端ではなく、下の図のAの位置の断面を示した。
ノーズを横から見た図。
これでウイングが跳ね上げた気流が、ノーズ下面のV字で左右へ別れる筈。
ウイングの上のフィンは、ノーズ横側の空気が下方へ巻き込むのを防ぐ為。
モノコック前端部分は、可能な限り断面を小さくした方が有利な筈なので、
規定の最小断面(=四角形)としておきたい。
(最小寸法は、横300mm、縦275mm。四隅には半径25mm以内のRが許される。)
モノコック前端へ向けて、ノーズ下面をV字から、また平らな形状へと戻す。
ノーズ先端の下面と、フロントウイング上面との隙間が狭く、流れに抵抗があるかもしれない。
ノーズ上面のここの部分は流れが速いので、煙突内からの抜けが良くなる筈。
通路を増やすと抵抗が増えるので、チムニーは良い解決策ではないかもしれないが、
この先何かの役に立つ事もあるかもしれないので、一応スケッチを描き留める。
とりあえず「ユニコーン・ノーズ」と命名。
チムニーを左右に付けてみる。
ただの気流排出以外にも、サイドポッド上のウイングレット・チムニーの様に、何かの役に立つ場合も有るかもしれない。
とりあえず「馬ノーズ」と命名。
規定上、どこかへ取り付けなければならないダミーカメラも利用する。
僅かに下向きに付けた翼形カメラの下面は、僅かに低圧となるので、
排出口をここへ開ければ、ノーズ下からの流れが促進されそう。
欠点は、ノーズ内部を通り抜ける抵抗がある事。
ならば、覆いを無くしてしまえば良い。
「アンダー・セパレーター式」 この手の形状は昔にも考えた事があるが、
別ルートの思考から同じ物に辿り着く形となった。
これの欠点は、上の覆い付き型よりも 前面衝突時の衝撃吸収能力が落ちる事。
こういった複雑な形状は、空力挙動が敏感になってしまうかもしれない。
(空力デザインが「使える物かどうか」は、ここにかかっている。)
上のデザインでは、セパレーターが気流を左右へ分ける時に 下方へこぼれるのを防ぐ為に、
セパレーターの下端に翼形のアンダープレートを付けた。
このアンダープレートの両端は、前輪内側のディフレクターと接続すると良いかもしれない。
(追記) このノーズ下側のセパレーターと同じアイディアは、筆者がスケッチしてから4年後にF1でウイリアムズが採用した。