2008年 1月10日、トヨタの2008年用マシン「TF108」が発表された。 写真は、GPUpdate.netや、F1-Live.com等を参照。 以下、概観から筆者の私見を記す。 各部パーツの呼称については、[各パーツの名称]ページを参照。 記事によれば、シャシー部門シニア ゼネラルマネジャーのパスカル・バセロンは、 TF108は昨年度のTF107よりもホイールベースを延長したとコメントしたという。 これにより、マシンは荷重移動が発生した際のグリップ変動が減少し、 また一方で、規定上、サイド ディフレクター周辺の空力開発の自由度も大きくなる。 ホイールベースとマシン性能については、フェラーリF2008のページを参照。 フロント ウイングは昨年のマクラーレンを真似たブリッジ式の上段フラップとされた。 これでノーズ先端は上下フロント ウイングの空間に挟まれる形となる。
ノーズ先端は低くされた。
よって、ノーズ先端が低いマシンは、フロントのダウンフォース発生量の上限を高めたいコンセプトである事が考えられる。 フロントのメイン ウイングは規定で許された区間で前方へ延ばしてあるが、上段フラップはほとんど前進させてはいない。 規定で許された区間については、フェラーリF2004Mのページの右図を参照。
フロント ウイングの翼端板は前から見て「く」の字に曲がった形状。 (このページのここまでの最新更新日:2008. 1.11)
フロントサスのタイロッド&前側のアッパーアームと、プッシュロッドには、 モノコック側に気流を乱さない様する為のカバーを着けている。 前側のアッパーアームは、昨年は上下にカーブした物だったが、TF108ではストレートで細めの物となった。
後ろ側のアッパーアームのモノコックへの取り付け部分は、規定で許されている範囲内で翼形状として後方へ延長している。
後ろ側のロワアームのモノコックへの取り付け部分は、モノコック下端よりも若干上側となっている。
前輪ホイールの外側には昨年のフェラーリの真似をした無回転カウルが備えられている。 空力コンセプトは、ここ数年のアンダー ボーダー ウイング方式から、サイド ディフレクター方式にあらためられた。 このサイド ディフレクターの高さは低めとなっている。 サイド ディフレクター底面のプレートは昨年から流行している細かい工夫が施されている。 現行のフラットボトム・レギュレーションでは、構造物の端の部分に半径50mm以内の丸みをつける事が許可されており、 この規定を利用して底面プレート前端を丸く迫り上げ、気流を下面へ導いている。 ミラーはサイドポッド外側前方のサイド プレートで直接支持している。
サイドポッドは、前側下部が凹む様にして絞り込まれた。
フェアリングフィンは現在トヨタ独自の処理となっている。
フェアリングフィン下側には、補助のフラップを備えると共に、 新規定となったサイドプロテクターは無難な形状とされた。気流は上方にも横方にも向かうと思われる。 サイドプロテクターとヘッドレストとの間の溝は浅めとなっている。
ロープを通す穴はヘッドレストの後ろで縦に開けられている。
インダクションポッドのミッドウイングは、規定最大幅よりも短くされた。
エンジンカウルの後ろの部分は規定で必要な区間を残し、空力的に不要な面は切り取ってある。 フェラーリに習い、後輪ホイールの外側にもカウリングがされている。 駆動輪の後輪は無回転カウルとは出来ないので、回転中心に排出口を開けている。
テールライトの下部は丸みをおびて下方へ膨らんでいる。 上段リヤウイングは翼端渦を軽減する様にデザインされており、ウイング両端は下面を持ち上げている。 リヤウイングの翼端板は、昨年の凝った3D形状から、側面がフラットな物へと戻された。 翼端板の上縁の後端は丸く切り取られている。これにより気流変動が穏やかになるかもしれない。 |
TOYOTA TF108 スペック(公表値) | |
---|---|
全長 | 4636mm |
全幅 | 1800mm |
全高 | 950mm |
車重 | 605kg (ドライバー及びカメラ含む) |
エレクトロニクス | トヨタ/マグネッティマレリ社及びマクラーレン システムECU (FIA規定に則る) |
トランスミッション | 7速+後退ギア |
タイヤ | ブリヂストン社製 |
ホイール | BBS社製 鍛造マグネシウム |
ダンパー | ペンスキー社製 |
ブレーキ | ブレンボ社製キャリパー&マスターシリンダー、ヒトコ社製ディスク |
ステアリング | トヨタ製パワーステアリング |
ステアリング表示板 | トヨタ/マグネッティマレリ社製 |
燃料タンク | ATL製安全タンク |
ドライバーシート | カーボンファイバー製 |
シートベルト | タカタ社製 |
HANSデバイス | Hubbard-Downing社製 |
TOYOTA RVX-08 エンジン スペック(公表値) | |
---|---|
気筒数 | 8 |
排気量 | 2398cc |
最高出力 | およそ740馬力 |
最高回転数 | 19,000rpm (FIA規定に則る) |
スロットル | 油圧駆動 |
スパークブラグ | デンソー社製 |
燃料 | エッソ社製 |
オイル | エッソ社製 |
Site TOP | トヨタ index |
---|