「サスペンションについて」

text & illustration by tw
Web掲載日: 2005/ 2/03〜2/04
スマホ用に編集: 2019/ 9/13金




上図: 車を正面から見た図。

車がコーナリングすると、コーナーの外側へ向けて遠心力(横G)がかかる。
遠心力は車の重心へ作用する。

コーナーで車体が外側へ傾く動きを「ロール」と呼ぶが、
「車の重心高」と「タイヤと路面の接地点」とを結んだ三角形を描くと、ロールの理由が解る。

車体重心が、路面よりも高い位置にあるので、横Gが加わるとロールする訳だ。

車体に同じ力の横Gがかかっても、平たい三角形となっているほどロールしようとする力が小さくなる。

上の絵を、車を横から見た図 だと想像すると、
ブレーキングGでノーズが沈む理由や、加速Gでリヤが沈む理由が解る。





ダブルウィッシュボーン形式のサスを正面から見た図。
赤いアームが通常の位置、(*ストロークしていない)
オレンジのアームは上方向にストロークした状態で、
ストローク量とトレッド変化(タイヤが横へ移動する)量を示した。

アームは回転運動をするので、アームが長いと回転半径も大きくなり、
同じストローク量でもトレッド変化量が小さくなる。

車輌が安定した走行をするには、トレッド変化量は少ない方が望ましいだろう。



下図は、F1のフロントサスを正面図から見た図。モノコック断面と、前輪の片方側だ。



ロール時に車体が回転する軸を「ロールセンター高」と呼ぶ。

次は、基本的なロールセンター高の求め方を示す。

まず、アッパーアームとロワアームを仮想線で車体内側へ延長して、その二つの線が交わる所が瞬間中心。

瞬間中心からタイヤと路面の設置点までの長さがスイングアーム。

スイングアーム車体中心線の交わる地点がロールセンター高となる。


ただし瞬間中心は、ホイールがストロークする(アームが動く)と移動する。
その為、瞬間中心と呼ばれる。

下の図は、上がF1のシングルキール車で、下が2004年のウイリアムズ風のツインキール車。(寸法は適当)





赤い線が 上方へストロークした状態。ロールセンターは下がる。
黒い線が 通常のタイヤ位置。
青い線が リバウンド ストローク(*下方へ降ろ)した状態。ロールセンターは高くなる。

上の図から、ストロークするとキャンバー角も変化する事が判る。



(F1マシン分析考察ページ内のサスペンションに関するページ)

ダブルロッカー・プルストロークダンパー

2004年ジャガー及び2005年マクラーレンのフロントサス内部レイアウト推察図

2004年マクラーレンのフロントサス内部レイアウト推察図

2005年マクラーレンのゼロキール。空力を優先したフロントサス

フェラーリF2008の特徴的なリヤサス構造

2010年ウィリアムズの特徴的なフロント・サス

2012年フェラーリのハイノーズでのフロントサス、プッシュおよびプルロッドの作動量

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